第八話 ロシリアの精霊術師

◇ユキノ

リジェ!

リジェじゃないっ!?


◇リジェ

まぁ、ユキノさん

どうされたのですか?


あら? その方たちは――


◇ユキノ

えっとー、

話すと長くなるんだけど……



********************



◇リジェ

そう……

パメラさんが……


みなさん


わたくしのお友達が

ご迷惑をおかけして

申し訳ありませんでした


それに

ユキノさんを助けていただいて

ありがとうございます


◇カイ

…………


◇ノア

…………


◇クロナ

…………


◇アリア

…………


◇リジェ

あの……?

どうかされましたか……?


◇カイ

ああっ!

いや……なんでもないっ!!


◇ノア

同年代の女性と聞いていたので、

その……

大人びていて驚いてしまって……


◇カイ

そっ、そう!


◇クロナ

うん!

本当にきれいな人だなーって!


◇アリア

はい!

びっくりしました!


◇リジェ

そ、そんなっ……


◇ユキノ

リジェは昔から美人なんだよ~!


◇リジェ

もぉっ、ユキノさんったら

冗談はよしてください……

恥ずかしいですよぉっ……


わたくしの家系――


ロシリア家の者は、

桜木のマナを操る力の影響で

人より成長が早いだけです……


◇ユキノ

ところでリジェは

どうしてここに?


◇リジェ

はい

わたくしは桜木のマナを

集めていました


◇ユキノ

え?

桜木のマナって

神樹で集めるんじゃないの?


◇リジェ

以前は、そうでしたが、

今はもう、

神樹の下でも、あまり――


なので、このファルティエの森で

桜木のマナを集めて


神樹の下へ行き

精霊を呼び出しているのです


◇ユキノ

そっか……


◇ノア

リジェ、

キミに聞きたいことがあるんだ


◇リジェ

わたくしに……ですか?

はい、お答えできることでしたら

なんなりと


◇カイ

俺たちは『アーク』と

呼ばれるものを探している


◇リジェ

……

『アーク』……ですか?


◇ノア

キミの家は古くから『精霊術』を

受け継いできた由緒正しい名家だ


文献や伝承などで

『アーク』という名に

聞き覚えはないか?


◇リジェ

さあ……

申し訳ありません

わたくしには、心当たりが……


◇カイ

そうか……


◇ノア

と、なると『コメット家』か……


◇クロナ

パメラの家かぁ……

なんとなく

会いたくないような……


◇カイ

そうも言ってられないだろ

会って確かめないと


◇リジェ

あの……


カイさんたちは、

どうしてその『アーク』を

探してらっしゃるんですか?


◇カイ

父さんに会うためさ


◇リジェ

お父様……ですか?


◇ノア

僕らの父さんは、『アーク』と

呼ばれるものを探しているらしい


詳しくは言えないが

僕らの父さんは、恐ろしいことを

しようとしている可能性がある


◇カイ

父さんを止めるため、

俺たちは『アーク』を

集めなければいけない


◇リジェ

…………


◇ユキノ

どうしたのリジェ……?


◇リジェ

…………様……


◇ユキノ

え? なにか言った?


◇リジェ

あ、いいえ……

なんでもありません……


あのっ、カイさんっ……!


◇カイ

ん?


◇リジェ

カイさんたちは

その『アーク』を探して

旅をしてらっしゃるんですよね?


◇カイ

そうだけど……


◇リジェ

精霊のご加護は

受けられましたか?


◇ノア

精霊の加護なんて

マキナハンターに限らず

上級の冒険者にしか受けられない


◇クロナ

私たち、ランクはシルバーだけど

まだマキナハンターになって

3年しかたってないし……


◇リジェ

でしたら!

わたくしが、あなたさまがたに

精霊のご加護をお授けします!


◇カイ

ええっ!?

本当か?


◇リジェ

はい!


◇ユキノ

ちょっと、リジェ!

大丈夫なの?

桜木のマナが減り続けてるのに!


◇リジェ

桜木のマナは

わたくしが

なんとかして必ず集めます!


だから、どうかわたくしに

あなたさまたちの

お力にならせてください!


◇カイ

ああ、嬉しいけど……

でも、どうして?


◇リジェ

もともと『ロシリア流精霊術』は

この島を守るのと同時に


旅人に精霊のご加護を

与えるのが役目です


◇ユキノ

え!?

そうだったの?


◇リジェ

はい

古い古い、大昔の言い伝えです


わたくしはロシリア家当主として

あなた達に精霊のご加護を

カイさんたちにお授けします


◇ノア

兄さん!

これはすごいぞ!


◇アリア

あの、精霊の加護というのは

そんなに凄いことなのですか?


◇ノア

ああ。歴史に名を残した

マキナハンターや冒険者は

みな、精霊の加護を得ている!


◇カイ

うん

父さんも、そうだった!


リジェ、よろしく頼むよ!


◇リジェ

はいっ!

ロシリア家の誇りにかけて、

必ずお約束いたします!


では、わたくしは家に戻って

精霊召喚の準備をいたします


あとで、我が家においでください


◇カイ

わかった!


◇ユキノ

じゃあリジェ、気をつけて!


◇リジェ

はい、ユキノさんも

では、みなさんまた後ほど――


◇クロナ

カイ! やったね!


これで私たちも

一流のマキナハンターの

仲間入りだよ!


◇カイ

ああ!


どんな精霊が

加護してくれるんだろう?

楽しみだな!!


◇ノア

ふたりとも気が早いぞ


◇アリア

ふふっ

ノアさんも、

ニコニコしてますよ?


◇ノア

ま、まあ、それはっ……

精霊の加護なんてめったに

受けられないし……


嬉しいのは、当然だっ……


◇ユキノ

よし!

じゃあ、

急いで桜の苗木を見つけましょ!


未来のグランドハンターさん達!


◇カイ

ああ!



To Be Continued……

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