英雄相談所
モモスガ
第1話 立ち上がった善意と悪意の根源
まるで巨大な壁の如く立ちふさがるそれは、俺がたどり着いた最後の敵だった…
「私に闘いを挑むのか?」
決して大声ではないが全身に響きわたる凄まじい音声が、俺の体を恐怖で蝕む…
「お前が悪を生み出す元凶なんだ!!」
俺は体中を蝕む恐怖を弾き出そうと叫ぶ…
元凶と言われたその存在は、巨体を邪悪に歪みながら全身で笑みを表現した…
「確かに私が悪意と呼ばれる(意志)を生み出している…」
「あなたはそれが必要ないと考えているのか?…」
歪めた巨体を安定させながら、元凶は淡々と俺に問い掛ける…
「この世界の不幸と悲しみの原因となっている!!…許せるわけがない!!」
俺は元凶に向かって固めた意志をぶつけた。
「私を否定するのだな…存在と意志を…」
なぜか元凶の言葉の端々に絶望を感じた…
「お前のしてきた事を考えれば、余地は無い!!」
俺は自らの背中に宿った光輝く翼を剣に変えて、大地を揺るがし元凶へと突進した…
「あなたの善意が報われると良いのだが…」
元凶はその言葉を残して、光の剣に貫かれた…
俺は貫いた剣から伝わる元凶の意志を全身で感じ取ると、両方の瞳から涙が溢れて止まらなくなっていた…
そして…
「ありがとう…」
と言う、なぜか感謝の気持ちが言葉となり口からこぼれてしまっていた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます