英雄相談所

モモスガ

第1話 立ち上がった善意と悪意の根源

まるで巨大な壁の如く立ちふさがるそれは、俺がたどり着いた最後の敵だった…

「私に闘いを挑むのか?」

決して大声ではないが全身に響きわたる凄まじい音声が、俺の体を恐怖で蝕む… 

「お前が悪を生み出す元凶なんだ!!」

俺は体中を蝕む恐怖を弾き出そうと叫ぶ…

元凶と言われたその存在は、巨体を邪悪に歪みながら全身で笑みを表現した…

「確かに私が悪意と呼ばれる(意志)を生み出している…」

「あなたはそれが必要ないと考えているのか?…」

歪めた巨体を安定させながら、元凶は淡々と俺に問い掛ける…

「この世界の不幸と悲しみの原因となっている!!…許せるわけがない!!」

俺は元凶に向かって固めた意志をぶつけた。

「私を否定するのだな…存在と意志を…」

なぜか元凶の言葉の端々に絶望を感じた…

「お前のしてきた事を考えれば、余地は無い!!」

俺は自らの背中に宿った光輝く翼を剣に変えて、大地を揺るがし元凶へと突進した…

「あなたの善意が報われると良いのだが…」

元凶はその言葉を残して、光の剣に貫かれた…

俺は貫いた剣から伝わる元凶の意志を全身で感じ取ると、両方の瞳から涙が溢れて止まらなくなっていた…

そして…

「ありがとう…」

と言う、なぜか感謝の気持ちが言葉となり口からこぼれてしまっていた…

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