楽園の果実(改稿版)

蜜柑桜

序章 楽園の伝説

 世界がまだ森と林に覆われていた時代。


 雲の裂け間から光が地を照らす瞬間、

 奇跡が起こると信じられていた頃。


 人と自然が分かたれず、

 混沌が残る中に秩序が作られ始めていた頃。


 人はその手に握れる以上の技を持たず、

 魔法が生きていると信じられていた頃。


 四季は入り乱れ、

 神の気紛れの如く変わりゆき、

 恵みと災いをもたらした。


 しかし木々に守られた彼の地では、

 黄金色の木の葉が絶えず舞い、

 育ち実った果実には、

 不思議な力が宿るという。



 枝を手折った者は、未だ無しや。

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