21.乙女の寝室ですよ!?
揺れるよと言われたものの、エルヴィス様はちゃんとゆっくりと、安定して運んでくれたので、問題はなかった。
すれ違う使用人達は、俯いて誰も目を合わさない。高貴な方が通るので、直接目が合わないよう礼儀として下を向いているのか、私が恥ずかしがるので、見ない振りをしているのか……
歴代の当主の肖像画……っぽい絵画が並んで飾られている廊下を通り、奥から三番目のお部屋の前で立ち止まる。
年嵩の侍女が、スッと前に出て、扉を開ける。
中は、淡いピンクで統一されている。可愛らしすぎて、ちょっと胃もたれしそう……
そのまま、寛げる空間を通り抜け、今度はメリルが前に進み出て、可愛らしい、果物や小動物のレリーフ彫りになった扉を開けた。
その先は、毛足の長いラグが敷かれ、ドレッサーとチェストがあるこぢんまりとした部屋で、寝室だ。
一番奥にど~んと存在感あるのが、ピンクの生地に黄色の小花が散った柄のカーテンが下がる、天蓋付きベッドだった。
「あ、あの! エルヴィス様、ここは、殿方はご遠慮くださいませんか?」
「私とリナの仲だろう? 遠慮することはないさ」
いえ、遠慮するのは貴方です! と、言いたい。
父と母が、敬語を使う相手なのだから、爵位は上か、同じでも資産や領地の価値、お城での担っている役職や権威が上なのだろう。
そんな方に、偉そうに言って、父の立場が悪くなっても困る。
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