第八章三節 紫焔
その頃。
ノートレイアは自身の
「これで十分かね。さて、そろそろ合図を送ろうかい……」
『ノートレイア!』
「おや、オティーリエかい。フヒヒ、遅いんだよ」
『リラ殿に報告をせよ、と
『証拠集めさ。今紫焔騎士団を呼ぶところだよ、ヒヒッ』
言いつつ、ノートレイアが合図に用いる照明弾を打ち上げた。
赤みを伴う光が、夜空に輝く。
その直後。機体から降りたオティーリエが、周囲を見回した。
「いつの間に……」
「これが紫焔騎士団さ。実体無き紫焔の如く、気づいた時には既にいる。さて、命令といこうかね」
ノートレイアは集まった影たちを見回すと、簡潔に命令を下した。
「
「「了解」」
影――紫焔騎士団の団員達――は、付近の
そして残骸を手早く回収すると、次々とベルリール城に向かっていった。
「さて、あたしも向かうかね。せっかくあんたと合流出来たけど、イチャつけるのはまだ先になりそうだ。我らが
「もう懲り懲りなのですけれど……」
「つれない事を言うじゃないか、オティーリエ。ま、あんたも任務があるはずだ。これ以上は邪魔しないよ」
ノートレイアは
「まったく、あの人は……。しかし、紫焔騎士団を見る事が出来たのは幸運。大国とされるベルグリーズ王国においても表には出てこない、そんな存在ですからね。さて、私も任務を全うしましょう」
オティーリエは表情を引き締めると、リラの近くまで駆け寄った。
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