第七章十七節 救助

「ッ……」


 機体の両腕両足を念入りに破壊されたタケル達は、抵抗する気力も無くしてただシートにもたれていた。

 じきに敵は胸部装甲を開放する――タケル達を直接連れて行く――か、あるいは胸部ブロックごと抱えていくか。いずれにせよ、明るい未来は見えなかった。


『無駄に手間を掛けさせるな。これからお前達を、閣下のところへお連れする』


 Harfareysハルファレイスをはじめとした数台の魔導騎士ベルムバンツェが、ゆっくりとタケル達の機体に近づく。


『大人しく出る気は無いか……。だが、それならそれで構わない。機体の胸部を入れ物として用いれば、迂闊に握りつぶす恐れも無いからな。そのままじっとしてもらおう』


 言葉と同時に、Harfareysハルファレイス達は三人を持ち上げ――


『護衛対象を発見、ただちに救助する!』


 ようとする直前に、真紅、天色、鮮緑、そして山吹の光線ビームが、Harfareysハルファレイス達の胸部をぶち抜いた。


 突然の出来事に、生き残ったHarfareysハルファレイス達が驚愕する。

 だが、光線ビームは更に飛来し、きっちり4台の魔導騎士ベルムバンツェを屠っていた。


「なっ、何なのだ!?」

「見慣れない機体だ、気を付けろ!」

「うっ、うわぁっ、なんて速――」


 動揺している間に、4台の魔導騎士ベルムバンツェが大地に降り立つ。

 真紅のAsrifelアズリフェル・_Arotülaアロテューラ、天色のAsrifelアズリフェル・_Blaufelブラオフェル、鮮緑のAsrifelアズリフェル・_Grünelグリューネル、山吹のAsrifelアズリフェル・_Gelbelgaゲルベルガ。どれも神殿騎士団の機体だった。


「アサギとオティーリエから連絡を受けて来てみれば……このような事態になっていたとはな」

「ひとまず、付近の敵を殲滅しましょう」

「三人とも、聞こえるよねー? 後で言いたい事はたっぷりあるけどさー、ひとまず安心してよ!」

「その通り。我々神殿騎士団が来たからには、もう恐れる事は無い」


 4台のAsrifelアズリフェルの性能はAsrionアズリオンに準じ、そして搭乗者である4人の神殿騎士団は全員が一騎当千の実力を持つ。




 襲撃者達の魔導騎士ベルムバンツェを残らず叩き潰すのには、さしたる時間もかからなかったのであった。

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