第七章八節 遭遇
「何とか出られた……!」
タケル達はそれぞれの機体に乗り、工房へと向かっていた。
「うん! けど、リラさんが見えないよ?」
「きっと、もう向かってるはず……! とにかく、私達も行こう!」
飛翔用の装備を持たず、地上走行しか手段の無いタケル達の機体であるが、それでも何とか工房の危機に駆け付けようと最大速度で疾走していた。
「確か、この道だったよね……?」
「うん、合ってる!」
来た時の道を思い出しながら、最大速度での疾走はやめない。
と、タケルの目に、何かが映った。
「あれ、なんかぼやけて――」
刹那、
「うわっ!」
重い音を立てて突き刺さり、盾の重量を増加させた。
『リリア、リンカ、気を付けて! 近くに透明な敵が!』
タケルの警告で、
その時、声が響いた。
『各機、殺さず生け捕りにしろ。あの3台の搭乗者は“子供達”だ』
姿は見えず、されど声だけはよく響く状況に、タケル達は機体の首を何度も巡らせる。
「どこにいるんだ……!?」
『ここだ』
声と同時に、1台の
漆黒の、上半身が奇妙に前傾姿勢を取った
「お前は……!」
『まあ落ち着け。私は話をしたいだけだ』
声の主は、ろくに武器も構えず話し始める。
『私達は、君達に協力を求めている。我らが閣下、ヘルムフリート・ベルリ・グライスの命によって、君達をある場所へと連れて行きたい』
あくまでも穏やかな調子で、タケルの説得にかかる。
だが、タケル達は即座に返事を出した。
「断る!」
「お断りです!」
「絶対嫌!」
全員が、許しがたいものを目の前にした表情だった。
それでも声の主は、説得を試みる。
『何故断る? 我々なら、手厚い保護をしてやれるというのに……』
「ふざけるな! 僕達はもう、リラ工房のお世話になっている!」
「それに、リラ工房を襲うという話を聞いたわ!」
「というか、ベルグレイアで私達を襲った奴らの仲間よね!?」
その説得も、三人は返す刀で拒絶した。
声の主は
『ならば実力行使の他はないな。命は奪わない、だが機体は徹底的に破壊させてもらう。……やれ』
号令と同時に、不可視の
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