第七章七節 防戦

「やはり問答無用か。ならばこちらも、容赦はしない!」


 シュランメルトは向かってくる敵機2台を、瞬く間に両断する。

 だが、いまだ多数の後続が控えていた。


『まだだ! 我々が一人でも工房を破壊すれば……ぐあっ!』


 二の句を告げさせず、操縦席ごと魔導騎士ベルムバンツェの胴体を一刀両断する。

 同時に、シュランメルトは今聞いた言葉から敵の目的を読み取っていた。


(恐らく、奴らとは別に部隊がいる。それも、不可視の魔導騎士ベルムバンツェに乗った部隊だ。ひとたび工房を奴らに破壊されたが最後、工房は蹂躙されるだろう。それだけは、何が何でも食い止める。おれはリラの弟子だ、彼女の工房を守るのは義務であり恩義を返す機会だからな!)


 パトリツィアがおらず全力を出せないAsrionアズリオンだが、それでも迂闊に近づいてくる魔導騎士ベルムバンツェを軽々と両断出来る力は有していた。


「おっと、あたしもいるよ。フヒヒッ」


 同行していたAsrifelアズリフェル・_Violettiaヴィオレティアもまた、文字通り敵機を次々と一刀両断していた。

 わずか2台に12台を潰された襲撃者達は、闇雲な突撃戦術を控え始めた。


(まずいな……パトリツィアを呼ぶか。今のAsrionアズリオンには遠距離攻撃の手段が無い)


 シュランメルトは敵機を牽制しながら、次の手を考えていた。


     *


 その頃、リラのOrakelオラケルは低高度を飛行しながら工房へ向かっていた。


「シュランメルトの危惧が的中しましたか……。ともあれ、屋敷の危機とあっては向かわざるを得ません。どうか、耐えていてください……!」


 リラは祈りながら、これから起こる戦闘に備える。




 だがタケル達が魔導騎士ベルムバンツェに乗って工房に向かっている事に、リラは気づいていなかった……。

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