第1話「入学式」-9
「高等部普通科1年担任の…」
続いて聞こえてきた、ちょっとハスキーな女性教師の声に、俺はまた「ん?」と思った。
(中学部2年と3年の担任は?)
これは日野原先生から再び叱責されてもいいから光浦和希に聞いてみよう。
「なあ、中学部2年と3年の担任は居ないのか?」
俺はなるべく周りに聞こえないようにと、声を潜めて隣の光浦和希に尋ねた。
「うん、居ないよ」
光浦和希は、あっさりと答えた。
(おい、中学部には2年生と3年生が居ないのか?)
にわかには信じられない話かもしれないが、さっき高等部普通科の新入生が、一人だけだったというのを考えると、充分ありえそうなことかもしれない。
(ということは、中学部って、俺たち3人だけなのか?)
そう光浦和希に聞きたかったけれどやめた。
真実を知るのが怖かったからだ。
でも、入学式が終われば、いずれ分かることなのだけれど。
それからも、普通科2年、3年、専攻科理療科と、担任紹介は粛々と進んでいき、いよいよ校歌斉唱となった。
言う間でもないが、俺はこの学校の校歌を、今日初めて聞くことになる。
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