第354話 勝負にもなりませんよ?
どうやら襲撃者さん達は、僕の威圧にビビって声も出ない様ですね!
まぁ、彼らがビビってる一番の要因は、そさっきの堂々たる宣言でしょうけど!!
けどまぁ今は戦争中であり、現在進行形で、外では巨大なエネルギー同士の衝突が起こってますし。
あまりゆっくりと余韻に浸ってる訳にもいきませんね。
「さて……」
早々に終わらせて、ヴィスデロビアをぶん殴り……じゃ無くてお仕事をしなければっ!!
「やりましょうか」
「ストップ! ストップ!!
ま、まぁ、そう慌てんなよ!」
むぅ、せっかく人がやる気になってるのに……
「何ですか?」
「思い出したぞ、あんた確かナイトメアとか言う組織のリーダーだろ? こんな所で油を売ってて良いのか?
今頃、あんたらの本拠地であるアニクスには魔皇神序列一桁のヴィスデロビア様の眷属様達が攻め込んでるぞ?」
ほほう? この僕を相手に、アニクスの事を出して脅すとは!
この状況下で……僕の威圧を受け、更にはメルヴィーに睨まれながら、やってのけるなんて中々の胆力と度胸です。
ヴィスデロビアの配下じゃなかったらナイトメアに誘ったのに……残念です。
「その事でしたらご心配無く」
本格的な戦闘が始まったらアニクスにも攻め込んでくる事は容易に想定できましたからね。
当然、対策済なのです!!
ヴィスデロビアが、どれだけの戦力をアニクスに送り込んだかまでは分かりませんが。
現在衝突している反応とこの感覚からして、有象無象は知りませんが、魔皇神はそこまで多くは無いでしょう。
「並大抵の戦力では、勝負にもなりませんよ?」
*
「予定通り敵が動きまし、た……皆様、何をしているのですか?」
深淵の試練、最深部である200階層に存在するナイトメアの本部。
その本部の中でも特に警備が厳しい特別会議室の扉を開けて足を踏み入れたグラトニーが、そこに広がっていた光景にクッキリと額に青筋を浮かべる。
特別会議室と隣接している諜報総括機関であるナイトメア特別対策情報局。
通称、情報局にて統一神界のコレールと連携し戦場全体の戦況を監視していたグラトニーが見た光景。
それは……
「うおっ!? やっべ! ちょっと待った!!」
「ふふふ! 待ったはなしだ!!」
「ヴァベット様、良いですよ! その調子です!! 」
轟雷の大神であるバラヴォールがゲームのコントローラーを片手に声を上げ、暴風の大神であるヴァベットが同じくコントローラーを握りしめて高笑いを上げる。
そんな両者を見て、現アニクスの最高神であるアフィリスがヴァベットを応援しつつ楽しげに笑う。
他にも大地の大神であるエルシアと神聖の大神であるソシリアは優雅に微笑みながらティーパーティーを開き。
火炎の大神ボルフレム、瀑水の大神アクーディト、深淵の大神ウェルスの男神3柱に加えて、ルーミエルの眷属でありナイトメア最高幹部の1人でもあるエンヴィーの4名はワインや清酒を飲み交わす。
ヴィスデロビアとの戦争中だと言うのに、そこに緊張感は一切存在しない。
各々が好きに繕いでいるこの状況に、元来真面目でありオルグイユ達による調教……御高説によってさらに教育されたグラトニーが頬をひくつかせ、声を上げようと……
「「皆様、何を遊んでいらっしゃるので?」」
背後から聞こえて来た、リンクした2人の凍てつく様な冷たい声。
グラトニーは瞬時に道を開けて脇に控え、他の者達も凍り付いたかの様に動きを止める。
「お嬢様達が頑張っておられるのに、コレとは……」
情報局へと繋がる扉から姿を現したのは2人のメイド。
シアは嘆くように呟きながら首を振り、ノアは笑顔ながらも底冷えする様な視線で皆を見回し……
「お嬢様にご報告しましょうか?」
世にも恐ろしいそんな事を言い放った。
「よ、よし! リラックスして緊張も解せた事だし、そろそろ動くとしますか!!」
焦った様子で苦笑いを浮かべながらエンヴィーが立ち上がる。
皆がそれに続くように意気込みの声を上げて立ち上がる。
アニクスへと軍団を引き連れて進軍して来た魔皇神達との戦闘が、始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます