第353話 僕ですか?
色々と雑務をこなしてやっと戻って来れたと思ったら、血走った目で叫ぶ変質者に出会すなんて……
ちょっと怖くて鳥肌が立っちゃったじゃ無いですか!
咄嗟に滅光魔法を撃っちゃいましたし……ま、まぁ、あれです。
これはあの人の自業自得です!
だって転移していきなり目の前に変質者が居たら攻撃しても仕方ないですし! うん、僕は悪く無いのですっ!!
「お嬢様、お嬢様」
「えっ? あ、はい、ちゃんと聞いてますよ?」
「お嬢様、すぐにバレる嘘は付かない方が宜しいかと」
じぃーっとジト目で見つめてくるメルヴィーさん。
自然と視線を逸らしてフェードアウト! 完璧な誤魔化し方で……
「メ、メルヴィー……」
「如何なさいましたか?」
ヤ、ヤバイ! 何でこんなにも沢山の人がっ? しかも何で皆んな僕を観てるんですかっ!?
多少は長年のボッチ生活で磨きに磨いた人見知りを克服したとは言え、流石に心の準備ゼロの状態でこんな状況に遭遇したらヤバイっ!!
少なくとも100人以上はいます。
それもかなり近くに、ほんの数メートルの距離にっ!! うぅ……一体どうすれば……と、取り敢えずメルヴィーの後ろに隠れましょう!!
「ルーミエル様っ!」
この声は……!
「ア、アイリースさん!」
おぉ、気が動転して気付かなかったですけど、アイリースさんが目の前に!
実にいいタイミング! グッジョブです!!
アイリースさんは丁度ここにいる人達の先頭にいますし、知り合いならいくら見られてもどうって事ありません。
ふっふっふ……! 至って自然にアイリースさんの陰に隠れて他の人達の視線から逃れる事に成功。
ミッション、コンプリートですっ!!
「ルーミエル嬢、少し宜しいかな?」
宜しいか、宜しくないか聞かれれば、全然宜しくは無いのですけど……残念な事にそうも言ってられませんね。
取り敢えず周囲の視線の大多数はシャットダウンできましたし……やるとしましょうか。
「何でしょうか? オシークスさん」
ふっ! どうです、このキリッとした真剣な面持ちは!?
統一神界、ヴィスデロビア勢力と並び立つ三大勢力の一角であるナイトメアの頂点に君臨する者の威厳はっ!!
「何やら満足そうなところ申し訳ないが、見ての通り取り込み中でしてな」
確かに言われてみれば、何やら見るからに纏う覇気もエネルギー量も学生とはレベルが違う、強そうな人達がいますね。
壁の盛大に壊れてますし……
「負けるつもりは毛頭無いのですが、この者達の目的は学園の生徒達の抹殺。
この人数を相手に生徒や他の者達を守りながら儂1人で戦うのは些かしんどいのですが。
もし宜しければ、手を貸して頂きたいのじゃが」
抹殺……? 誰の? 生徒達の??
つまりは何ですか? 僕の可愛い教え子達を殺そうと襲ってきたと。
なる程、だからこの構図ですか。
あの壁を壊して侵入して来た襲撃者達から学生達を守るべく、オシークスさんが立ちはだかっているって訳ですね。
しかし、僕の大切で可愛い教え子達を狙って来るなんて……しかも、この場所には僕の友達のアイリースさんもいるのにっ!
襲撃者共、許すまじですっ!!
「分かりました。
僕の可愛い教え子達を殺そうとするなんて万死に値します!!」
ここはナイトメアの創設者としてでは無く、一先生として生徒達を危険に晒す悪意を叩きのめしてやりましょう!
敵の中で一番強そうな、先頭に立っているマッチョ男を睨み付ける。
「っ!」
ふっ! どうやら僕の圧倒的な存在感と、鋭い眼光にビビってる様ですね!
「てめぇ、何者だ?」
「僕ですか?」
来たっ!!
遂にこのセリフを口にする時が来ましたっ!!
「僕は、この子達のただの先生ですよ!」
キマッたぁー!!
ちょっとアドリブで変更したけど、教員になった時からいつか言いたいと思っていた名台詞!
ふっふっふ! さぁ覚悟するのです襲撃者達よ! このセリフを言ったからには……一人も逃さずに叩きのめしてやりますっ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます