第336話 想定外です……
ふっふっふ! 我ながら完璧に決まりましたね!
どうですかこの素晴らしい鼓舞はっ! もう、自画自賛しちゃいます!!
「では、よろしくお願いします」
「うむ」
今作戦の第一段階。
それはヴィスデロビア達が撤退し先であるヤツらの本拠地へと空間を繋げて転移する事。
ふっふっふ、つまり! この作戦自体がヴィスデロビアの本拠地を僕が特定したが故のもの!!
何せ昨日、ネルヴィア様に見せ場を尽く掻っ攫われながらも、神能と魔導科学の最新機器の両方使って特定したのは何を隠そうこの僕ですしね。
「ふっ、次はネルヴィア様の番です」
「何を言っとるんだお主は」
何をとは何ですか!
僕がこうビシッと決めたから、作戦の第一段階を務めるネルヴィア様にですね……
「むぅ……」
「お嬢様、ご立派でカッコ良かったですよ」
ふふん! メルヴィーに褒められちゃいました!!
メルヴィーは自分にも人にも超ストイックで厳格。
そんなメルヴィーが褒める事は非常に稀な事……でもないですね。
思い返してみれば、事ある毎にメルヴィーも皆んなも褒めてくれてるような気が……
ま、まぁ細かい事は別にどうでも良いです。
昨日は本当に尽く、僕の見せ場をネルヴィア様に持っていかれましたからね。
これで堂々とネルヴィア様に勝ち誇ってやれます!!
「ふっふっふ〜!」
「……良いだろう。
妾の方がビシッとカッコ良く決めて見せてやるわ!!」
バッと右腕を翳すネルヴィア様。
すると、目の前の空間に歪みが生じ……
パチン!
一度指を鳴らすと同時に、その歪みがこの場に整列していた軍勢を取り囲む。
この数の軍勢を空間ごと隔絶するこの鮮やかな手際、流石ですね。
ですが……
「では、皆の武運を願っておる」
ネルヴィア様の力で展開しているこの隔絶結界でヴィスデロビアの本拠地である空間に張られている結界を突き破って、僕達は転移する。
つまり! 今日はネルヴィア様がどれ程凄い事をしても、僕の勝ち逃げなのです!!
パチン!
再びネルヴィア様が指を鳴らす音が鳴り響き……
「なっ……」
誰かが唖然と漏らした驚愕の声が、静まり返った全軍に響き渡る。
まさかここまでとは……流石に想定外です……
「やぁ、統一神界とナイトメアの諸君、そして……深淵から世界を覗く者、ルーミエル。
ようこそ我が本拠地へ、歓迎しよう」
昨日消し去ってやったのと同じ様な椅子に足を組み、頬杖を付いて腰掛け、ニヤリと笑みを深めるヴィスデロビア。
その周囲には昨日無傷で撤退したヤツの側近を中心とする主力達が佇み。
その背後には……昨日よりも遥かに膨大な数の軍勢が控えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます