第326話 ま、またしてもっ!?
「おかしいな。
今の攻撃には神能は使われていなかったと思うんだけどね」
「使ってませんよ」
自分は神能を使った防御をしておきながら、神能を一切使っていない攻撃によって破られたこの事実!!
ふっふっふ! 存分に驚くが良いっ!!
「っ! 巫山戯るなっ!!
ただの魔法程度でヴィスデロビア様の防御を破れるものかっ!!」
おっと、貴女はさっきエンヴィーに蹴り飛ばされた美女さんじゃないですか。
うんうん、なかなかにいい質問をしてくれます。
まぁでも彼女が理解できないのも当然ですね。
だってさっきの防御には恐らくヴィスデロビアの神能が乗せられてましたし。
では! そんな美女さんの疑問にお答えしましょう!!
「先程も言っておったじゃろう?
ルーミエルの滅光は神をも消し去る!
それに加えて積層魔法陣で威力を増幅させたあの一撃を、適当に展開したあの程度の壁で防げるとでもお前は本気で思っておったのか?」
ネ、ネルヴィア様……!
くっ、こんな所に伏兵がいたとはっ! 今のは僕の決めシーンだったのにっ!!
「っ!!」
「まぁ、落ち着け。
しかし深淵から世界を覗く者ルーミエル…… クックック、実に面白い!」
「ふん、何が面白い?
妾とルーミエル、2人を相手に勝てると思ってあるのか?」
「クックック、確かに貴女達2人を同時に相手するのは骨が折れそうだ。
連れてきた魔物達も大多数がやられた様ですし、ここは一旦引かせてもらおうか」
引く、という事は撤退ですか。
まぁ攻勢に打って出たとはいえ、所詮はまだ小手調べ程度のもの。
動いていたのも一兵卒レベルでしたし、敵の手の内も多少は見れた。
確かにここで一旦引いて、体制を立て直すのは理解でますが……
「妾達を前に逃げ果せると思っておるのか?」
ネルヴィア様の言う通り、幾らヴィスデロビアと側近達が強いといっても、この場にはコレール達もいますし。
ネルヴィア様は勿論、この場にはいませんが統一神界側の強者達も動くでしょう。
この状況下でそう易々と戦略的撤退ができると思っているのなら、随分とナメられたものですね。
「確かにこの状況下で撤退するのは容易では無い……が、これならどうかな?」
ヴィスデロビアがニヤリ笑みを深め……
「っ! これはっ!?」
おぉ! これは凄い。
ネルヴィア様が焦った声をあげるのも納得ですね。
突如として統一神界の上空に出現した、統一神界を覆う程巨大な漆黒の球体。
「事前に仕掛けさせてもらったよ。
小康状態だった1週間、私が何もしていないとでも思っていたのかな?」
凄い規模ですね。
見たところ、かつてハスルートが使っていた爆弾と同じ様な物の様ですが。
規模も、込められた魔力も桁違い!
まぁぶっちゃけ、あの程度なら普通に対処できますけど。
事前にこうなる事まで読んで仕掛けていたとは……ヴィスデロビア、なかなかの策士ですね。
さっきはネルヴィア様に見せ場を持っていかれましたし。
ここは僕が収めて、皆んなに幼女だけど凄いと言うか事を見せつけるとしましょう!!
「チィッ」
舌打ちしたネルヴィア様が徐ろに、漆黒の球体に手を伸ばし……ギュッと握り締める。
そして一瞬にして掻き消される漆黒の球体……ま、またしてもっ!?
「クックック、ではまた会いましょう」
漆黒の球体への対処によって生じた僅かな隙。
ヴィスデロビアにとって、その僅かな隙は撤退するには十分であり……
「逃げられたか」
お茶を楽しんでいた将校クラス以上は全員が消え去り。
この場に残されたのは僕の
これはしてやられました。
あの漆黒の球体への対処によって生じる隙をついて撤退する事まで織り込んでの小手調べ。
本当に策士ですね。
「これで一度仕切り直しじゃな。
ルーミエルよ、これから統一神城で会議を行うぞ」
「……」
「ル、ルーミエル? どうかしたのか?」
「……別に、何もありません」
「全く、何をそう拗ねておるのじゃ?」
「拗ねてません!」
この僕が拗ねてるだなんて、失礼ですね全く!!
「ことごとく見せ場を横から掻っ攫われた事なんて、毛ほども気にしてませんし」
「ほほう」
な、何ですか? ネルヴィア様は何をそんなにニマニマしてるんでしょうか?
ま、まぁ良いです。
今日はもう疲れましたし、会議とやらはコレールに任せて学園のお屋敷で不貞寝……じゃ無くて普通に寝るとしましょう!!
「ふふふ、ルーミエルよ。
実は会議のためにディゼールに特別なケーキを作ってもらったんじゃが。
お主も会議に参加するかの?」
ディ、ディゼールの特別なケーキ!?
い、いや! そんな甘言に惑わされてはダメです!!
ルーミエルよ、精神を強く保つのです! ケーキ程度に釣られる僕では無いのですっ!!
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