第316話 叙任式です!

 ナイトメア本部の特別会議室。

 客人である大国の長2人と超越者たる幹部が勢揃いし、言い知れぬ緊張感が包み込む。

 そんな重圧の中、跪く6名の人物。


「こほん、突然呼び出してすみません」


 上座に座り、机に膝を着いて、顔の前で指を組んでの咳払い。

 ふっふっふ! 完璧です。

 皆んなからはシリアスな雰囲気の余裕あるボスにか見えない事でしょう!!


「これから先のヴィスデロビアとの戦い。

 皆んなには軍団を率いる軍団長を任せたいと考えています。

 きっと厳しい戦いになるでしょう……それでも引き受けてくれますか?」


「「「「「「はっ!!」」」」」」


 このプレッシャーの中で微笑みまで浮かべますか。

 流石ですね、これなら安心して任せられます。


「では、これより叙任式を執り行います。

 まずは……リーナ、ならびにミーナ」


 公爵位の貴種吸血鬼の双子。

 元々の最高クラスのスペックに加えてナイトメアでの訓練、鍛錬に自己研鑽。


 そしてなりより可愛い吸血鬼の双子に対して行われたオルグイユとメルヴィーの愛のある特別訓練。

 2人ともレベルは1800台後半とナイトメアでも屈指の強者。


 幼く、実戦経験が乏しいけど、それを補って余りある双子としての絆とコンビネーション。

 軍団長に相応しい実力者と言えるでしょう。


「2人を第一軍団軍団長に任命します」


「「承知致しました」」


 うん、実に息ぴったりです!


「次に、リリアーナ。

 貴女を第二軍団軍団長に任命します」


 リリアーナも元は魔教団の幹部だったとは言え。

 その実態は実験体として捕われた吸血鬼やその他の人々を内密に助ける為の潜入。


 それを長年、ハスルートやリーリスに悟られずに潜入していた実績。

 それに加えて、ナイトメアに入ってからの飛躍的な成長で今となってはリーナやミーナに迫るレベル1800台前半。

 レベルで劣っていてもそれを補える技術を持つ強者。


「かしこまりました」


「任せましたよ。

 そして、ジルクニス」


 ジルクニスはコレールの従属である竜人族の長。

 高齢と言う事で人材の育成に回っていたハズなのに。

 自発的に行っていた超絶ハードな修練にて、いつの間にか上位種族の龍人に進化した、長き時を生きる玄人。


 単純な技術だけならナイトメアでも随一。

 レベルも1800台後半であり、高齢のハズなのに戦闘に尤も適した肉体へと変化し二十代前半の青年にしか見えない超人。


「貴方には第三軍団軍団長を任せます」


「謹んで拝命致します」


 この外見で皆んなからは長老って親しまれてる優しいお爺さんなんだから驚きですね。


「さて、次はウィルシア」


 リュグズール何従属である魔人族の若き天才ウィルシア。

 今まで天才故に何の張り合いも無く、何にも興味が無さそうだったウィルシア。


 毒魔法が得意なリュグズール従属の魔人族の中でも、毒魔法を使おうともしない異端とされながらも、周囲の言葉なんて全く意に返さず。


 ナイトメアに入り、自身よりも遥かに強大な存在を初めて目の当たりにし触発され。

 その類稀な魔法の才と膨大な魔力でみるみるその力を開花させ、今や魔人族の長となった天才少年。


「第四軍団軍団長に任命します」


「承知致しました!」


 いまでは楽しそうに笑いながら迷宮の魔物達を屠る姿。

 実に頼もしいですね。


「そして最後にシルフィル。

 貴方を第五軍団軍団長に任命します」


「はっ! 謹んで拝命致します」


 シルフィルは僕が最初に生み出したフェンリルの1人にして、唯一の生き残り。

 高度な知恵を持ち、人化すら当然となし得る聖獣にして全てのフェンリル達の女王。


 先の戦いで最古参として同等の力を持って2人と共にヴィスデロビアの眷属に立ち向かい。

 同志2人を殺され、重傷を負いながらも敵が引くまでその足止めに徹し、リーナとミーナを救った存在。


 兄弟を失った悲しみと足止めをする事しかできなかったり無力感からか迷宮に篭り。

 ついにはレベル2000、新たな超越者として神獣。

 彼女になら安心して軍団長を任せる事ができます。


「皆んな任せましたよ」


「「「「「「はっ!!」」」」」」

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