第317話 特別試練です!

「それでは、早速皆んなに軍団長として初めての任務を言い渡します」


 改めて静まり返る特別会議、張り詰める緊張感、そひて若干緊張した面持ちの6人。

 まぁ軍団長と言う重責ある立場になって初の任務ですし、当然ですね。

 では、僕もこの緊張感を崩さないように威厳を出していくとしましょう!!


「こほん、皆んなにはこれから……強くなって貰いますっ!!」


 決まった……!

 ふっふっふ! 今僕の背後には、海賊王を目指す漫画の様に、ドンッて効果音が見えることでしょう!!


「「……」」


 イヴァル王とウェスル帝が何か言いたげな顔ですね。

 それは態々、任務として言う程の事なのか?

  皆んな当然の様に鍛錬を積んでいるのでは? って、その顔に書いてありますね。


 ふっ! 2人ともまだまだ甘いですね。

 ナイトメアの皆んなが日夜、修練を積んでいる……そんな事は分かっています。

 子供でも分かる周知の事実です!!


「ヴィスデロビアとの戦い。

 ハッキリ言って今の皆んなでは力量不足です」


「「「「「「っ!」」」」」」


「ですが、それは至極当然の事です。

 ヴィスデロビアは超越者の中でもトップクラスである元シングルの神。

 奴の眷属は当然として配下も今までの敵とは比較にならないレベルでしょう」


 何せヴィスデロビアは10万年前、統一神界を相手に戦争を仕掛けたくらいですしね。

 ナンバーズだけでも5万もの神々がいるわけですし、それ以外を合わせるとどれ程になるのやら。


 結果的に敗れたとはいえ、そんな神界勢力と渡り合ったヴィスデロビアの勢力が弱いはずが無い。

 士官以上は全て超越者クラスとかでも不思議じゃ無い。

 まぁヴィスデロビア達が士官何て軍の階級を用いてるかは知りませんけど。


「だから……皆んなにはこれから超越者になって貰います」


「「「「「「っ!」」」」」」


 皆んな面白いくらいピッタリな反応しますね。

 さっきは悔しそうな感じだったけど、今は困惑って所でしょうか?


「ルーミエル様、超越者とはそんな簡単になれるモノなのですか?」


「超越者とは神と同義、そう簡単なことでは無いと思うのですが」


 ウェスル帝とイヴァル王まで、何言ってるんですか全く!


「超越者になるのが簡単なはずないじゃ無いですか。

 何たってレベル2000ですよ?

 誰でもレベル2000まで上げる事は可能とは言え、生半可な事では不可能ですし、相応の強さも必要です。

 ですが……」


 現時点で皆んな総じてレベル1700以上、十分に超越者に至る事ができる器です。


「僕達が見出した6人ですよ?

 当然、死ぬ程キツイ壁を越える必要はありますけど、皆んななら絶対に超越者に至れます。

 現にシルフィルは既に超越者に至ってますし」


 問題はその後。

 レベル2000までは比較的スムーズにレベリングする事が可能ですが。

 超越者になって以降はレベルを上げる為に必要になる経験値が跳ね上がりますからね。


「と言う訳で皆んなには特別試練を受けて貰います。

 とは言っても、僕もやった事あるやつですけどね」


「「ま、まさか……」」


 リーナとミーナは思い至った様ですね。

 まぁ2人には以前に話した事がありますし、2人が若干青褪めてるのは仕方ない事でしょう。


「今から皆んなを、僕が創造した小規模世界に飛ばします。

 当然ただの世界ではありません。

 そこにはレベル1500以上2000未満の膨大な数の魔物がひしめき合っています」


 僕がやった時との差異と言えば、深淵の試練の階層を用いるかどうか程度でしょう。

 僕の時は最後に階層ごと破壊して怒られてしまいましたからね。

 同じ失敗を2度は繰り返しませんっ!!


「超越者に至れば転移で戻ってこれる設定にしています。

 あっ、無限に魔物が増殖する様な事は無いので安心して下さい」


 ふっふっふ、僕はフォルクレスやアフィリス達の様な鬼畜では無いのですっ!!

 目的を果たしてるのに無限に湧き出てくる魔物達の相手をするのは億劫以外の何物でも無いですからね。


「だからリーナとミーナもそんなに青褪める必要はありませんよ?」


 目的さえ果たせば、すぐにでも帰ってきてゆっくりできる。

 なんて素晴らしい親切設計でしょう!


「今回の特別試練は皆んなの中で唯一既に超越者へと至っているシルフィルをリーダーとします。

 一応内部に魔物達が入ってこれない休憩所も用意してますし、食料等も用意しています。

 でも、全員が超越者に至らないと戻ってこられないので、全員で協力・連携して頑張って下さいね!!」


「「「「「「っ……はっ!!」」」」」」


「では、いってらっしゃい!!」


 指を鳴らすと同時に6人の姿が掻き消える。

 僕の時は初日で達成しましたし、皆んなもすぐに帰ってくるでしょうね。

 それまでにネルヴィア様に報告しとかないと……


「「……」」


 な、何故かイヴァル王とウェスル帝が呆れた様な目で、めっちゃ見られてますね……


「あの、どうかしたんですか?」


「いえ、何もありません」


「ええ、お気になさらず。

 ただ……」


「ただ?」


 イヴァル王とウェスル帝は何故か顔を見合わせ……


「「相変わらず規格外で鬼畜だな、と」」


 き、鬼畜!? この僕が!?

 むぅ、そんな事を言うなら僕にも考えがあります!

 ふっふっふ、2人にはディゼールのケーキを出してあげませんからね!!

 僕が鬼畜なんて、解せませんっ!!


「コレール、ネルヴィア様に連絡を」


「それは既にしたのですが……」


「どうかしたのですか?」


「どうやら現在、統一神界はヴィスデロビアによる攻撃を受けている様です」

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