第308話 必殺技なのですっ!!
「神滅は僕が指定した存在そのものを消し去る滅光。
……これで終わりです」
天を衝く神滅の白柱が収束し、そこに変化は見られない。
ゼサータレンの姿が無いと言う点を省いては。
「自爆なんてバカのする事です……」
例え負けても、勝てないと悟っても、醜くても。
泥まみれになって泥水を啜ってでも、最後まで足掻くべきです。
生きていてこそなのに……
「お嬢様……」
「大丈夫です。
少しむかむかしただけです」
こんな気持ちになったのは、深淵の試練でヒュドラを殺した時以来ですね……
まぁ、気にしてもしょうがないですね。
考え方は人それぞれですし。
負けるくらいなら、自爆してでも道連れにするって考えも納得は出来なくても理解はできなくもないですからね。
「ルーミエル君。
キミ、またヤバイのを開発しちゃったようだね」
「おぉ、よくぞ聞いてくれました!
ふっふっふ! 神滅は
フォルクレスよくやった!
ちょっと重い空気になりかけていたけど、ナイスな話題逸らしですっ!!
「神滅は言ってしまえば、滅光魔法・ホーリーフィールドの強化版です。
それを神能でもって滅光魔法を発動し、尚且つ完璧にコントロール下に置いたのが先程の神滅なのですよ!」
「コントロールね。
以前から完璧にコントロールできていたと思うけど?」
滅光魔法はホーリーを魔力で強化て自由自在に操る魔法。
でも、神滅は違います。
「そもそも滅光魔法は、神能である殲滅ノ神を獲得した時にその権能の1つになってるんですよ。
まぁ当然、普通の滅光魔法も使えますけどね」
「……もしかして、いつも使ってるのは」
「当然、普通の方ですよ?」
神能は僕達、超越者にとっての切り札ですからね。
そう簡単に見せる手の内を見せる訳にはいきません。
「まぁ、それよりもです!
殲滅ノ神は文字通り攻撃に特化した権能でですね。
殲滅ノ神で滅光魔法を使うと、なんと何を消し去るのかの取捨選択が可能となるのですっ!!」
ふっふっふ! これがゼサータレンだけが消滅して、地面等には一切の影響が無い答えっ!!
「つまり!
僕がその気になれば、一切の防御結界や障壁を透過して対象に攻撃する事が可能なのですっ!!」
そのお陰で、今の神滅もアヴァリスの結界に影響はありませんし。
周囲の目に感づかれる事は無いでしょう。
「流石はお嬢様です!」
「ルーミエル様、流石です!」
ふふふ、そうでしょうとも。
もっと褒めていいんですよ?
そしてゴロゴロ自堕落ご褒美をくれてもいいんですよっ!?
「ルーミエルお嬢様、凄いです」
「わっ! アヴァリス、突然抱っこしないで下さい」
「あら、嫌でしたか?」
「べ、別に嫌では無いですけど……ちょっとビックリすると言いますか……
んんっ、それよりもです!
後処理をすませて、帰りましょう!!」
何だかんだで、疲れましたし。
今日はもう一日中寝たいです! ふかふかベッドで寝てやりますっ!!
*
「これは……」
荒野を見下す小高い丘の上。
そんな場所に似つかわしく無い豪奢で禍々しい椅子に凭れ掛かる男がポツリと呟きを漏らす。
「如何なさいましたか?」
その呟きに、そばで控えていた美女がそう問いかける。
「どうやら、ゼサータレンが死んだようだ」
「っ!?」
悲しげに視線を落としす男の言葉に、美女が驚愕に目を見開く。
「まぁ、フォルクレスに加えてあの子が相手なら仕方ないか」
「あの子とは?
ゼサータレンを殺った者をご存知なのですか? ヴィスデロビア様」
「深淵から世界を覗く者、だそうだ」
椅子に凭れ掛かる男……ヴィスデロビアは組んでいた足を戻し、ニヤリと笑みを浮かべる。
「まぁ良い。
目的は達した、行くぞ」
ヴィスデロビアは椅子から立ち上がり、背を向けて歩き出す。
その後を美女と複数名の者達が続き……彼らの背後で爆音が鳴り響き煙が舞い上がる。
その煙が晴れた時、そこには無人の丘が広がっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます