第300話 特別ステージにご招待!

「でもその前に、天照さん達はどうしますか?」


 ゼサータレン討伐の依頼を受けたのは僕とフォルクレスですからね。

 昨日はフォルクレスと晩酌を楽しんでいた様ですけど、ぶっちゃけ今ここに居るのも成り行きですし。


 本当は帰ってゆっくりしたいかもですし、何か用事があるかも知れません。

 そして何より、これ以上巻き込んでしまうのは忍びないですからね。

 どうするかは本人に決めてもらうとしましょう。


「勿論、一緒に参ります」


「当然、儂もだ」


「地球の事で、我ら地球の神々が動かない訳にはいかないでしょう?」


 う〜む、こうなったら仕方ありませんね!

 地球の神々と一緒にお出かけ! ちょっとワクワクしてきましたっ!!


「分かりました!

 じゃあ全員で向かうとしましょう!!」


 でも、これじゃあ大勢でゼサータレンと対峙する事になりますね……

 側から見れば完全なるリンチ! ふっふっふ、ついにこの僕がヒールに染まる時が来た様ですね!!


「コレール」


「はっ!」


 敬礼したコレールが手渡してきたのは、白を基調としたカッコイイ軍服!

 皆んなで行くなら統一感を出さないとですからね!!

 一応、天照さん達の分まで作っておいて正解良かった。


「ありがとうございます。

 では皆さん、これに着替えて下さい!」


「「「「……」」」」


 あれ? 反応がありませんね、どうしたのでしょうか?


「悪いけど、遠慮しておくよ」


「わ、私も遠慮させていただきますね」


「え、えぇ、せっかくですが、私も……」


「儂は別に構わんが、今は悠長に着替えている時間も無いからな」


「そうですか……残念です」


 けどまぁ良いでしょう!

 ナイトメアだけが着ているってのも特別感があって良いですしね!!


「じゃあ、行きますよ!

 コレール、お願いします」


「かしこまりました」


 パチン


 一度コレールが指を鳴らすだけで、視界が切り替わる。

 目の前に広がるのは綺麗なすり鉢状に抉れた巨大なクレーター。

 我ながら異様な光景ですね。


「はじめまして。

 昨日のプレゼントと、挨拶がわりの先制攻撃は気に入っていただけましたか?」


「……やってくれましたね」


 忌々し気に睨みつけてくるゼサータレン。

 全身血だらけで結構怖い!

 可憐な幼女になんて物を見せてくれてるんですか全く!!


「ふふふ、気に入っていただけた様で何よりです」


「えぇ、見た目通り子供らしく可愛らしいプレゼントと挨拶をありがとうございました」


「……」


 言ってくれるじゃないですか!


「後ろの方々は保護者か何かで? 大勢でご苦労な事ですね。

 それで、私は全員を皆殺しにすればよろしいのですかな?」


「あぁ、気にしなくて結構ですよ。

 貴方程度の相手は僕1人で十分ですからね。

 皆んなと一緒になんて、ただの弱い者いじめになっちゃいます」


「クハッハッハッ! 小娘風情が頭に乗るなよ」


「事実を述べただけですよ?」


 ふっふっふ! 随分とイラついている様ですね。

 クッキリと青筋が浮かんでますし、挑発は十分でしょう。


「このっ、小娘がっ!」


 黒炎を纏った右手を振り上げ、一瞬で切迫してくるゼサータレン。

 中々のスピードですが、激昂してるせいか直線的ですね。


「ほっ」


 横薙ぎに振り抜かれた手刀をスウェーで回避。

 手を振り抜く瞬間、纏ってる黒炎がレイピアみたいに伸びた!


 並の相手なら今ので真っ二つ、黒煙で燃やされて消し済になるって寸法ですか。

 ……結構、カッコイイ技を使ってくるじゃないですかっ!!


 しかし、甘い!

 スウェーのまま、ゼサータレンの下に潜り込んで……


「特別ステージにご招待ですっ!」


 鳩尾を思いっきり蹴り上げる。


「かぁっ……」


 身体がくの字に曲がり、ゼサータレンが重力に逆らってはるか上空に打ち上げられる。


「はい、捕まえました」


 吹き飛び、背後に開いた扉に吸い込まれる様にして消えて行くゼサータレン。

 実に簡単かつシュールに確保に成功しましたね……


「まっ、地球を更地にする訳にはいきませんからね!

 じゃあ僕達も後を会いましょうか! 今回の特別ステージへレッツゴーですっ!!」

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