第288話 事実は小説より……やっぱ無理っ!!

「はっ! 承知致しました」


「「「「「「「……」」」」」」」


 うん、まぁ皆んなの言いたい事はわかります。

 つい今まで嬲ってくれと言っていた人物とは思えない程の、この変容ですからね。


 けど、これは当然の事。

 何せリーリスはオルグイユ達に教育されたのですから!

 まぁ、せいで新たな扉を開いちゃった訳ですけど……教育は教育でもあるけど調教でもあったと……笑えませんね。


「特殊隠密部隊員から連絡を受け、私自ら確認に赴き、確認をとりました。

 間違いありません」


「そうですか……」


 コードE。

 それは『code Executive』の略称にして、ナイトメアが遂行していた極秘任務の名称っ!!

 Executiveとはつまり……


「それで、誰でしたか?」


「今回、捕捉したのはヴィスデロビアの眷属の中でも四魔皇と呼ばれる炎の眷属、黒炎のゼサータレン。

 現在は違う名で呼ばれておりました」


 違う名、ですか……でもまぁ考えてみると当然ですね。

 なんたって、そのゼサータレンとやらは10万年にヴィスデロビアと共に神々を敵に回したわけですし。

 本当の名前を名乗るバカなんて、普通はいないでしょう。


「奴は現在……サタン、と呼ばれておりましたわ」


「ふむふむ、サタンですか……え? サタン?」


「はい、サタンですわ」


「……」


 サ、サタン!? いやいやい、それは無い!!

 だってその名前、めっちゃ聞き覚えがあるんですが……いや、僕は自立した立派な大人。

 この程度のことで取り乱してどうするのです!


 どこぞのイギリスのダンディーなおじさんも、事実は小説よりも奇なりって言ってたじゃ無いですか!

 現実を受け入れねばっ!!


「ご主人様? も、もしや、何か粗相をしてしまいましたでしょうか?

 うへへ、お仕置きですねっ! さぁ、どうぞ痛ぶって下さいましぃ!!」


「やっぱ無理! サタンってマジですかっ!?

 えぇ? サタンって言えば、あのサタンですよね?

 偶々、同じ名前を名乗っていたって事じゃなくてマジでサタンっ!!」


「ルーミエルよ! 落ち着くのじゃっ!!」


 これが落ち着いていられますかっ!

 だってサタンですよ!? ネルヴィア様はやっぱりわかってませ……


「あれ? 皆んなして何ですかその顔は? 何でそんな呆れた様な顔で僕をみるんですかっ!?」


 これはおかしい。

 興奮して気付かなかったけど、この聡明で通っている僕を呆れた様な目で見るなんて……


「取り乱したエルちゃんも良いわぁ」


「お嬢様……」


「尊い!」


「アフィリス、何を当然の事を!

 ルーミエル様が尊いのは当然です!!」


 うん、まぁメルヴィーとオルグイユ、アフィリスにソシリアは当然。

 コレール達もいつも通りですね。

 呆れた様な目を向けてくるのは……


「何故って、四魔皇じゃぞ!?」


「そこをスルーできるキミのスキルに私は驚きです」


「やはりルーミエル嬢は感覚がズレておるな……」


「ルーミエル嬢。

 四魔皇と言えば、ヴィスデロビアが眷属の中でも最強の存在達なんですよ?」


 ネルヴィア様とエネトスさんはまだ良いでしょう。

 でも、フォルクレスとオシークスさんに言われると何故かイラッとしますね。


「あぁんっ! この完膚なきなまでの無視っ!!

 素晴らしい放置プレイィっ! ゾクゾク致しますわぁ!!」


 リ、リーリス……流石にちょっと怖いですね。

 いや! 以前は兎も角、今のリーリスは僕の直轄の配下。

 部下の性癖にとやかく言う程、野暮な上司になる訳にはいきません!!

 ここはオリハルコンの精神で受け入れて、話を逸らすとしましょう!


「こほん、すみません、取り乱しました。

 それで、サタンと言う事はやっぱり……」


「はい。

 奴が潜伏しているのはご主人様の御生誕の地にして、そこの愚神の管轄にある世界……地球でございますわ」

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