最強幼女は惰眠を求む！ 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜 【本編完結済】

第279話 無慈悲ですね……

「貴様っ！ 一体何をしたっ！？」

　ちっ、煩いですね。

　皆んなが唖然と静まり返っている間に、しれっと帰ろうと思ったのに……

　観覧席から立ち上がり、ビシッと僕を指差す眼鏡教師。

　お前のせいで台無しです！ 大声を出すから皆んなが我に帰って、また注目されるじゃないですかっ！！

　オシークスさんは一体何をして、…．良い笑顔を浮かべて静観してますね。

　そうですか、そっちがそう出るなら僕にも考えがあります。

「メルヴィー、早く帰りましょう！」

「かしこまりました」

　もう既にチャイムは鳴っているのです！

　つまりは、今はもう担当時間外……仕事中でも無いのに、あんな面倒そうな人の相手なんてしていられません。

　ガン無視するって言うリーサルウェポンを行使してやりますっ！！

　ふっふっふ！ ビシッとポーズを決めておいて、公衆の面前で盛大に無視されるが良い！！

　入試の時に大声で個人情報を叫び。

　不正と難癖を付け、今も意味不明な言い掛かりを付けた報いです！

「待てっ！」

　無視された事が余程癇に障ったのか、突然目の前に転移して来る眼鏡教師。

　非常に邪魔ですね、殴って良いでしょうか？

「ふぅ〜」

　いやいや、この程度で殴るなんて社会人として許されないですね。

　ここは一つ、大人の対応で僕が横に避けてあげるとしましょう。

「今日は色々と疲れました……」

　主に精神的にですけど。

「では、本日はもう本邸に戻られますか？」

「そうします」

　これはモフモフと甘いスイーツと惰眠に埋れて癒されなければ！

「例の物は持って帰るとしましょう」

　何せ、オシークスさんとの交渉の末に手に入れた条件の１つですしね。

　あの時のオシークスさんの苦しそうな苦笑い言ったら……ふふふ、オシークスさんにはこれからも頑張って貰わなければ！！

「貴様っ！ この私を誰だと思ってっ！！」

　折角、横にズレて抜けたのに、眼鏡教師が激昂しながら僕の肩に手を伸ばして……

「っ！？」

「下種が……」

　静かに怒りを燃やすメルヴィーによって腕を掴まれ、呻き声を漏らす。

　入試の時点でかなり怒ってましたからね。

　僕が相手をしないと、メルヴィーもわざわざ眼鏡教師の相手をする事は無いでしょうし。

　折角穏便に済ませようとしたのに……本当に、台無しです。

「お前のお嬢様に対するは不遜な態度は目に余ります」

「なっ、なんだ貴様はっ！ ぐぅっ、その手を離せっ！！」

「目障りです」

　ポーカーフェイスで無表情だけど、瞳の奥でメラメラと怒りの業火をあげるメルヴィー。

　眼鏡教師の腕を掴む手に力が込められて行き……

　ボキュッ

　人体から聞こえてはならない音が。

「ぎゃあぁっ！？ 私のっ、この私の腕がぁっ！！」

「煩わしい虫が。

　黙りなさい」

　鬱陶しい羽虫を払う様に。

　無造作に振り払われたメルヴィーの裏拳が、喚き散らす眼鏡教師の顔面に突き刺さり、吹っ飛ばされる。

　数十メートル程、空中を舞い。

　地面をバウンドして訓練場の壁に衝突してやっと止まった頃には……自業自得とは言え、無慈悲ですね。

　可哀想とは思いませんが、涙と鼻血を流しながら、白目を剥いて気絶しちゃってますし。

　とても教師として生徒に見せて良い状況ではありませんね。

「「「「「……」」」」」

　軽く、本当に軽くあしらわれた眼鏡教師に先程と同様に、訓練場全体が静まり返る。

　気不味い……非常に気不味い出す。

「よし。

　オシークスさん、後は任せましたよ」

「ちょっ！ この状況でそれは無いじゃろっ！？」

　焦った様子で転移して来たオシークスさん。

　ふっ、恨むなら、高みの見物を決め込んだ自分自身を恨む事ですね。

「今当人であるお２人が居なくなれば、儂だけでは収集のつけようが……」

「そんなの学園長の、鶴の一声でどうとでもなるでしょう」

「絶対にならん！

　ほら見て下されあれを！！」

　オシークスさんが指を刺す先には……それはもう良い笑顔で額に青筋を浮かべた美女が。

「ふむ、何やら怒っている様ですね」

「こ、今回のこれは儂の独断……儂１人であの怒れる教頭先生に対峙しろと仰るのですかっ！？」

　ほほう……これは、面白い。

　オシークスさんはどうやら教頭先生であるあの人には頭が上がらない様ですね。

　高位の神々は総じて色々と非常識ですからね。

　オシークスさんは、僕の周りにいる人の中では常識人ですが、歴としたダブルの神。

　オシークスさんが非常識なのは当然の帰結！

　色々と非常識な事を平然とやらかすオシークスさんは、教頭先生にお小言を貰っているのでしょう。

　そして、教頭先生には頭が上がらないと……

「なる程。

　それで、僕達がここに残る事に対する見返りは何ですか？」

「……例の件を許可しましょう」

「そうですか。

　では仕方ないので、もう少しだけここに居る事にしましょう」

　まぁどの道、後で締められるでしょうけど。

　その時にもう少し僕の条件を呑ませてやりますっ！