第276話 教えて差し上げましょう
ぞろぞろと生徒を引き連れて廊下を歩く。
他のクラスの生徒たちは一体なんの騒ぎかと廊下を覗き、教員達が訝しむ様な視線を向けて来る。
まぁ全部無視しま……
『第4学年の全生徒及び担当教員に緊急連絡。
ただ今より、第二訓練場にて4年Aクラスによる特別授業が行われます。
至急、第二訓練場の観覧席へと集まって下さい』
まぁ良いでしょう。
これで感じる視線が倍増しましたが、こうなる事を予測して、わざわざオシークスさんに連絡を入れた訳ですし。
教室でも全く問題は無かったけど……これで4年生達には僕の実力を証明する事ができます。
何回もこんな不毛な事をするのは面倒ですし。
他の学年も一回、全部で計5回で生徒達に僕が講師であると認めさせたいモノですね……
「お嬢様、よろしいのですか?」
「構いませんよ。
他のクラスの生徒達の対応は一切するつもりはありませんし……と言う訳で、任せますよ?」
「こうなる事まで想定通りですか? ルーミエル先生」
入試の際に使用し、文字通り消滅し。
見事に修復され、一から構築された事により他の訓練場よりも強固な防備を誇る第二訓練場。
その入り口に佇み、楽し気な微笑みを浮かべるオシークスさん。
この人は何処か僕の事を子供扱いしてる節がありますね。
とは言え嫌な感じはしない……これは、孫に対するおじいちゃんって感じでしょうか?
「一度やると決めれば、真剣に取り組む質ですので。
今の僕は所謂、お仕事モードなのです」
「フッフッ、それは頼もしいですね。
ですが、やり過ぎ無い様に注意して下さい、ルーミエル先生」
「承知しました。
では、そちらはお任せしますね、オシークス学園長」
ふふふ、この職柄に畏った話し方。
いつもと違ってちょっと面白い……オシークスさんも同じ事を思っている様ですね。
意味深に微笑みを浮かべながら見詰め合う幼女と老人、非常にヤバイ字面ですが。
ダブル神であり学園長であるオシークスさんとのこのやりとを見れば、何となくは僕が只者じゃ無いって察する事でしょう。
「では、ルーミエル先生の手腕を見させて貰います」
「ええ、お楽しみに。
では皆さん、中に入りますよ」
転移で移動したオシークスさんを見送ってから、騒つくAクラスの生徒達と共に訓練場の門を潜る。
観覧席に座るのは4年生のSクラスと、ここにいるAクラスを省くBからEクラスの生徒達。
「どうやら、ステージは整っている様ですね」
しかし、全員が転移して既に観覧席で待機しているとは……流石は神々たる超越者が学ぶ学園ですね。
本来なら僕達もそうするべきなのでしょうが……
まぁ、生徒達が僕の指示に従ってくれるかは分かりませんし、仕方ありませんね。
「では早速。
皆さん、自己紹介をお願いします。
その後、ついでに何故僕が講師を頼まれたのかを教えて差し上げましょう」
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