第265話 レッツゴーです!

 超越者へと至った存在が、神の何たるかを学ぶ統一神界学園は全部で5学年まで存在し。

 1学年につきSからEまでの6のクラスが存在する。


 基本的に統一神界学園は実力主義ですが、各クラス間の格差は無く。

 入学試験の結果を考慮して、各クラスの総合力は拮抗する様にクラス分されている。


 ただし、Sクラスだけはそれに該当しない。

 Sクラスは入学試験に於いて、突出した結果を残した生徒のみで構成された特別クラスであり。

 他のクラスと違い定員数が定まっていないため、学年によってはSクラス自体が存在しない事もある。


「しかし今年は、Sクラスを開く事が出来た事を嬉しく思います!」


 長々と学園について語っていた担任の先生。

 ボン・キュ・ボンなグラマス体型の美女であるクレア先生が花の咲く様な笑みを浮かべた。

 クラスの男子達が色めき立つ……これが大人の魅力!


「本日のSクラスの予定はこのホームルームで終了です。

 配った書類をよく読んでおいて下さいね! では、解散っ!!」


 Sクラス。

 つまりは特待生だけで構成された特別クラスな訳ですが……僕を含めて全員で8名。

 少人数であり、全員が特待生と言う事もあって放任主義ですね。


 それに少人数だからこそ、付き添いの人と一緒に教室にいても問題無い!

 つまり、メルヴィーと一緒に勉強できると言う訳です!!


「ヤツへの制裁も考えないといけませんし。

 早く帰りましょう!」


 クラスメイトが7人。

 彼らの付き添いの人を入れても20人もいないのに、チラチラと視線が鬱陶しいですからね。

 可及的速やかに教室から撤退しなければ!


「あっ、あの!」


 くっ、遅かったっ!

 ここで無視なんてすれば……学園内での僕のイメージが急降下する事間違いなし!

 ふぅ〜、リラックスです!

 落ち着いて、大人の対応をすれば何も問題ないはず……


「お久しぶりですね、アイリースさん」


「ひゃ、ひゃい!」


 あ、あれ?

 てっきりキッと鋭い視線で睨まれると思っていたのに……様子がおかしいです。


 チラチラと伺う様な視線に、忙しなく絡ませる両手の指。

 こっ、これはもしかしてっ! デレですかっ!?

 ツンデレのアイリースさんのデレ……アイリースさん、可愛い!!


 これはアレですね。

 高慢な悪役令嬢がデレるとギャップ萌えが凄まじいって言う。

 アイリースさん、噛んでしまって、真っ赤ですし……この学園は悪役令嬢がヒロインをざまぁする系の学園の様ですねっ!!


「ふふふ、アイリースさんから話しかけられるとは思っていませんでした。

 どうかしましたか?」


「あの、その……私、ルーミエルさんに謝りたくて……」


「入試の時の事でしたら、気にしないで下さい。

 代表挨拶でも言いましたが、大事なのは過去では無くこれからなのですから」


 決まった……!

 何処かで聞いた事があるセリフランキングでも上位にランクインするこのセリフ!

 ふっ、これでこそ大人のレディーです。


「ルーミエルさん……あの! もし宜しければ、これから一緒に学園を見て回りませんか?」


 とても不安そうなアイリースさん。

 これは非常に断り辛い……とは言え、今日は既に精神のライフポイントが尽きかけですし。

 一体どうすれば……


「あっと、忘れていました。

 ルーミエルさん! 学園長がお呼びしておりましたよ!

 配布した書類に地図もあるので、学長室に行って下さいね!」


 クレア先生! 何て素晴らしいタイミングっ!!

 しかし、入学式当日にお呼び出しされるとは……これでは不良ですよ。

 入試の時のメガネ教授の嫌味にも耐えて、何も問題は起こしてないのに……


「はぁ、何もしてないのに何で呼び出しなんか……」


 いや、でもこれは良い機会なのでは?

 呼び出しを無視すれば話は別ですが、既に即刻帰宅は叶いませんし。

 アイリースさんと一緒に学長室に行ったら、学園を見て回る事にもなる。

 まさにウィンウィンです! 完璧な計画ですっ!!


「と言う訳なので、一緒に学長室に行きましょう!」


「えっ? ちょっ!」


 右手はメルヴィー、左手はアイリースさんと手を繋いで、両手に花!

 男子生徒諸君よ! 絶世の美女と美少女を連れているこの状況を存分に羨むが良い!!

 男子生徒諸君の羨望の眼差しの中、学長室に向かってレッツゴーです!

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