第260話 実技試験です! その4
アイリースさん、勝ち誇った様な、ざまぁみろと言う様な笑顔ですね。
フォルクレスもニヤニヤと面白そうにしてますし……今に笑えなくしてやります。
ふっふっふ……恐れ慄き、慌てふためくが良い!
僕を揶揄い、挑発し、不正と決め付け、喧嘩を売った事を後悔させてやりましょうっ!!
「ルーミエルさん、準備は良いですか?」
「構いません」
問題はどの様にしてあのフォルクレスゴーレムをサンドバッグにするかですね。
ぶっちゃけ、滅光魔法1発で消しされますが……それでは芸が無くて、何より面白くない。
「では、実技試験……開始っ!」
ドゴォッ!
試験官さんの合図と共に、轟音が鳴り響く。
他の受験生の時は微動だにせず、受け身だったフォルクレスゴーレムの切迫に地面が捲れ上がる。
「よし、決めました!」
フォルクレスゴーレムから繰り出される、踏み込みの勢いを利用した右ストレート。
普通の受験生なら死んでますね、これ。
けどまぁ、取り敢えずは……
「素手で殴りますっ!!」
迫り来る一撃を半身になり、体を回転させて躱しながらフォルクレスゴーレムの側面に周り……
「一撃目っ!」
憎たらしいフォルクレスゴーレムの横顔に思いっきり回し蹴りを叩き込む。
フォルクレスゴーレムの踏み込みで巻き上がった土煙が消し飛び、凄まじい衝撃波と轟音が鳴り響く。
「二撃目っ!」
直角に吹き飛んだフォルクレスゴーレムの進行方向に先回りして、横合から飛んでくるゴーレムのお腹を蹴り上げる。
「三撃目っ!」
下からやって来るゴーレムの顔面を殴り付けて、地面に向かって叩き落とす。
四撃目、五撃目、六撃目……なんか、ちょっと楽しくなってきました!
とは言え、普通にやっても面白味がありませんね。
縛りを加えるとしましょう! そうですね……地面に触れない縛りでいきましょうっ!!
そうなると翼を出していた方が効率がいいですね、目指せ百連撃っ!
右へ左へ、前に後ろに、上へ下に。
訓練場内を四方八方にゴーレムを吹き飛ばしではまた吹き飛ばす。
そろそろフィニッシュです!
フォルクレスゴーレム、もうかなり罅割れてボロボロですけど……ギリギリ持ちましたね。
「百撃目っ!!」
アッパーで打ち上げたフォルクレスゴーレムの脳天に踵落としを叩き込む。
音速を超えてソニックブームを発生させながら予定通り、訓練場中央に衝突する。
地面は割れて捲れ上がり、本来巻き上がる土煙すら消し飛ばす轟音と衝撃波に観覧席を守る結界が激しく揺れる。
「さてさて、アイリースさんは……」
おぉ! 見事に唖然と驚いてくれている様ですね。
他の受験生達と一緒に目を見開いて、ポカーンと口を開いてますし。
オシークスさんと試験官さんは苦笑い。
フォルクレスは引き攣った顔をしていますね……ふっふっふ! ざまぁみろですっ!!
「では、クライマックスと行きましょう!
アイリースさん」
地面に沈むフォルクレスゴーレムの真上。
上空に翼を広げて浮かぶ僕を見上げて、全員が呆けていましたが。
どうやら今ので我に帰った様ですね。
純白の翼を広げ、上空から見下ろす僕の姿は、まさしく天使や神と言った超常の存在っぽい。
このシュチュエーションなら幼女でも多少は威厳を醸し出せるでしょう!
まぁこんなので納得してくれれば苦労は無いのですが……
「アイリースさんが実技試験で最後に放った一撃は、雷霆と言いましたね?」
確かに中々に凄まじい雷でしたが……雷霆とはゼウスが誇るオリュンポス最強の武器。
あの程度ではまだまだ、神の雷鳴を名乗るには及ば無い。
「そ、そうよ。
私が放てる最強の……神の一撃よ」
「確かに凄い雷でしたが……神の雷鳴を名乗るには遠く及ば無い。
今から本当の〝神の雷鳴〟を見せてあげましょう!」
神のと言うからには、それは必然的に神能を用いて放たれる。
まさしく神に許された一撃。
「ま、まさか……ルーミエル君っ!?」
フォルクレスが何やら焦っていますが、知りません。
本気でやれと言ったのはそっちですし、これで学園に多大なる被害が出ようとも僕は一切悪くない!!
「〝神能〟」
〝殲滅ノ神〟と〝魔道ノ王〟を入れた起動。
本来なら殲滅ノ神のみで放ちますが……これが本気の本気ですっ!!
「神の雷鳴に滅っされよ……〝
アイリースさんの口上を倣って、天から降るは全てを破壊する神の雷。
音すらも消し去る閃光が訓練場を包み込む。
その雷による余波だけで、訓練場に張り巡らされた結界が砕かれる。
「やばっ!」
即座にフォルクレスが神能を乗せた、さらに強固な結界を展開すも……
パキッ……
その結界にすら幾つもの罅が走る。
いくら神能を使っていても、咄嗟に展開したこの程度では防ぎ切れる訳がないっ!
「とは言え……流石ですね」
罅が入っただけで、破れはしませんでしたか。
まぁ、直撃していれば絶対に貫きましたけどねっ!!
「うそ、でしょ……」
今回は試験官さんまでもが唖然と目を見開いてますし、ここまですれば十分でしょう。
「これが本当の
僕の実力、納得して頂けましたか?」
アイリースさんの視線に入る様に高度をおとし、翼を広げる僕の背後。
訓練場があったそこには、そっくりそのままの大きさの闇が……底の見えない巨大な穴が広がっていた。
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