第238話 ニマニマが止まりませんっ!!

「お嬢様っ!」


「ルーミエル様っ!」


「ルーミエルお嬢様っ!」


「エルちゃんっ!」


「ルーちゃんっ!」


 3人を直視するのが怖くて、俯きつつ内心頑張ったと自分を褒めていると……


「えっ?」


 ひしっ!


 何故か女性陣全員から発生に抱き着かれました。

 ふむ、全員が神へと至った女神達ですし、男性諸君にとっては名実ともに天国と言える状況。


 四方八方から押し付けられる柔らかく弾力のある膨らみ。

 つまりは胸、おっぱいである。

 仮にこの場にいるのが僕では無く、男性なら間違い無く、グヘヘと鼻の下を伸ばす事でしょう。

 甲羅を背負ったジジイが大好きなパフパフです。


 しかし、忘れてはいけない。

 この5人全員がご立派なモノをお持ちであると言う事を。

 そして、そのうち2名が、他3名を凌駕する、語頭に〝爆〟がつくサイズを誇っていると言う事をっ!!


 ハーレムを夢見る数多くの男性諸君は心して覚悟を決めなければならない。

 ここは天国であると同時に辛く、険しい試練の場でもあるのだと……


「お嬢様方、ルーミエル様が苦しまれております」


「「「「「はっ!?」」」」」


 正しく鶴の一声、天の助け!

 流石はボルフレム、コレールにタメを張れる超越執事ですっ!!


「けほっ、けほっ!」


 咽せてしまって喋れないけど、ボルフレム、グッジョブです!

 感謝の気持ちを込めて視線を向けると、何も言わずに微笑みを浮かべて優雅に腰を折るボルフレム。

 ダ、ダンディーですっ! カッコいいっ!!


「おいおい、嬢ちゃん大丈夫か?

 まっ、そう不安気な顔するなって、心配しなくても俺達はもう友達だろ?」


 ちょっと不良っぽくて、チャラそうな格好のバラヴォールさんがニカッと笑みを浮かべてウィンクする。

 こ、これはアレですか!

 見た目は不良だけど実は気さくで優しいって言う、所謂ギャップ萌えってやつですかっ!!


 いやまぁ、僕には萌えは無かったですけど。

 バラヴォールさんはイケメンでカッコいいと思うけど、それだけですし。


 僕はもう完全に女の子なのに、今までキュンキュン感じた事が無いんですよね。

 元々が男だった弊害でしょうか?


 っと、いけない。

 思わず現実から意識を逸らしてしまった……今バラヴォールさん、俺達はもう友達って……。


「ふふふ、勿論私もルーミエルちゃんのお友達ですよ?」


「私もですっ!

 それにしても、あの可愛さ……アフィーはともかく、ソシリアまで落ちたのも頷けます!!」


 ヴァベットさんは後半ちょっと言ってる今がわかりませんが……

 エルシアさんも、と、友達って言ってくれたぁっ!!


「あのっ! じゃ、じゃあ! バラヴォール、エルシア、ヴァベットって呼んでも良いですかっ?」


「「「……」」」


 うぅ……やっぱり、今のは図々しかったですよね。

 も、もし、これで3人に嫌われちゃったら……


「「「ぐはっ!」」」


 えっ!? いったい何が……


「是非とも、私の事はエルシアと読んで下さいね!」


「私もっ! ヴァベットって呼んで!」


「お、俺も当然呼び捨てで構わないぜ。

 俺達は友達だしな!」


「ほ、本当ですかっ!?」

 

 友達、名前で呼んで良い……うふふ、嬉しくてついつい頬が緩んでしまいます。

 ポーカーフェイス、ポーカーフェイス……あぁ! でもやっぱり無理っ!!


「ふふふ、良かったですね、お嬢様」


「はいっ!」


 メルヴィーも楽し気に笑ってますし、うん、笑っても問題ありませんね!


「天使だわ」


「抱きしめたいです!」


「や、やべぇ、俺にも嬢ちゃんが天使に見えたわ……」


 友達、友達! 新しい友達!!

 うふふ、ニマニマが止まりませんっ!!


「フフフ、ルーミエル様、よう御座いました。

 では皆様、改めてお茶に致しましょう。

 ルーミエル様方に、お話もしなければなりませんしからな」


「おぉ、そうであった。

 フォルクレス殿がやらかしてくれたお陰で、忘れる所であった」


 アクーディトがフォルクレスだけを断定した際で、フォルクレスが項垂れちゃいました。

 けどまぁ、うん、仕方ありませんね。

 フォルクレス、ガンバです!


「話ですか?」


「おっと、その話は私から」


 突然、意気揚々と笑みを浮かべたフォルクレスを軽く睨むメルヴィーとオルグイユとアヴァリス。

 とは言え、流石ですね。

 この3人に睨まれて、苦笑いを浮かべただけとは……先程までのお巫山戯とは違うと言う訳ですか。


「ルーミエル君! キミ、学園に行ってみない?」

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