第233話 神界へ!!

 深淵の試練、今や第250回層目となった最奥にある僕達の家。

 帝都にあるリーヴ商会本部よりも広大な敷地面積を誇るお屋敷に帰還。


 お屋敷に作られた、思いつく限り全てのお風呂を完備した大浴場。

 コレール達、男性3名以外の女性メンバーと一緒にゆったりとお湯に浸かり。

 メルヴィーとオルグイユを筆頭に、全身をモフモフな泡で洗われる。


 そして、遂にその時がやって来るのです!

 目の前に広がるのは、こう言った時の為に特別に作ったとある部屋の光景。


 〝等価交換〟によって、部屋の中全てを最高級のマットレスで埋めた、その名も『真・寝室』!

 この部屋であれば、掛け布団や毛布を被って、何人でも一緒に寝れると言う訳ですっ!!


 まぁ、コレールはイヴァル王達との連絡やナイトメアの仕事。

 グラトニーとエンヴィーはそんなコレールに連行されて行っちゃいましたけど……


 そんな訳で、ご飯も食べずに惰眠を貪る!

 差し込む朝日にふと目が覚めると……皆んなに変わり変わり撫でられていました。


 頭を優しく撫でられる微睡の中、目の前にモフモフな尻尾。

 当然、尻尾に飛び付き、二度寝に突入!

 結果として丸2日間、惰眠を貪っていた訳です!!


「うぅ……もうちょっとだけ……」


「ん、好きなだけ、寝ると良い」


 な、なんて優しいのでしょうか!

 丸2日も寝て、まだ寝ていても良いと! フェル、大好きですっ!!

 ギュッと、抱きしめてあげます!!


「はい、ではお風呂に参りましょうね」


 抱きしめていたフェルごとヒョイっと抱き上げるメルヴィー。

 僕もフェルも幼女体型とは言え、こうも容易く抱っこされるとは……


 とは言え、メルヴィーの腕の中もまた心地良い!

 このさり気なく、しかし確実に主張してくる双丘……ふむ、このまま三度寝と洒落込みましょう!!


「ふふふ、ルーミエルお嬢様、アヴァリスの尻尾でございますよ?」


 しっぽ……?


「ほ〜ら、お嬢様! シアの尻尾もありますよ!!」


「ノアの尻尾もですよ〜!」


 おぉっ! ゆらゆらと揺れる尻尾がたくさん!!

 程よい微睡の心地良さも素晴らしいし、ここは天国ですかっ!?


「しっぽ! しっぽ〜!」


 くっ! 手を伸ばしても、ゆらゆらと上手く避けられる!

 もどかしいです! もう目の前にモフモフがあると言うのにっ!!


「お嬢様、ばんざい〜……はい、よく出来ました!」


 もうちょっと、で……あぁっ!

 くそぉっ! あと一歩だったのに、またしてもメルヴィーに抱き上げられてしまいました。


「まずはお髪、次にお体をゴシゴシしますよ!」


 低い椅子に座らされて、全身泡だらけ……泡?

 あれ? 僕のしっぽは何処に?

 と言うか何故に泡何でしょう……あぁ、だんだんと意識がハッキリとして来ました。


「はい、では流しますので、目を瞑って下さい」


 頭からお湯をかけられて、サッパリ! 目もパッチリです!!


「ふふふ、おはようございます、お嬢様」


「おはようございます!」


「現在キッチンにてオルグイユ様とリュグズール様が朝食のご準備をなさっております」


「了解です!

 今日の朝ご飯は何でしょうか?」


 丸2日寝ていたので、2日ぶりのご飯。

 しかも、オルグイユ達が作る料理は何をとって絶品ですからね!!


「パンケーキと聞いております」


 パンケーキ!!

 何と甘美で素晴らしい響きでしょうかっ!


「それは楽しみです!!」


 しっかりと朝風呂で暖まって、目を覚まし。

 オルグイユとリュグズールの傑作! フワッフワっな絶品パンケーキを頂く。

 王宮の料理長が土下座で弟子入りを願い出る程の逸品でした。


「ふぅ、本当はもう少しゆっくりしたい所ですけど……お仕事といきましょう。

 では! ちょっと神界まで報告に行ってきますね!!」


 神能でちょちょいと空間の回路を繋げて、転移発動っ!!

 はい、神界に到着です!


 3分クッキングよりも早く、来る事が出来るなんて……

 神界、かなりお手頃ですね。


「そんな事出来るのはキミくらいだよ?」


 心を読んだ上に、呆れたような苦笑いを浮かべるフォルクレス。

 何ですか、その顔はっ!

 尤もな感想なのに、解せませんね!!

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