第205話 4人の関係 その2

「関係、ですか?」


 こてん、と首を傾げるリーナとミーナ。

 ぐふふ、可愛いです!


 それにしても2人には今度、こう言った教育もしなければなりませんね。

 ハールトさんが無防備な2人の仕草を見てますし。

 微笑ましげにニマニマしてますし。


「そうです。

 2人には辛い事を思い出させてしまうかもしれませんが……」


「私は大丈夫です!」


「ミーナの言う通りです。

 今の私達2人はとても幸せですから」


 ……ヤバイ、今ちょっと泣きそうになりました。


「そう、ですか。

 そうですね……ふふふ、後でケーキをご馳走しましょう!!」


 泣かせてくれますね。

 2人には何かプレゼントを贈るとしましょう。


「では、結論から言います。

 リーナとミーナ、2人の母親である原種吸血鬼ジル」


 リーナとミーナが少し目を細め、そんな2人をオルグイユとメルヴィーが暖かく見守る。

 そして……


「リリアーナさんのかつての主人にして、アレサレム王国に……魔教団によって滅亡した小国ハハーレンの元王子ハールトさんの婚約者だった人の名前です」


「う、嘘……」


「……」


 オルグイユとメルヴィーと僕を省く4人が、唖然と驚愕に目を見開いた。

 まぁ、当然の反応ですね。


「4人の関係はリーナとミーナ、2人の母親にあります」


「ほ、本当に、本当にこの子達はジル様の御息女なのですか!?」


「事実です」


 肯定すると、バッと効果音が付きそうな勢いで2人を見つめるリリアーナさん。

 リーナとミーナも少し引いてますし…… 流石にちょっと怖いですね。


「た、確かに私達の母は原種吸血鬼のジルと言います」


「よ、よかった……お2人はご無事だったのですね……」


 リーナの微笑みを受けて、遂には泣き出してしまいました。

 けどまぁ、仕方ないですね。

 リリアーナさんにしてみれば、長年の目的がやっと果たせた訳ですし。


「リリアーナさんは、実験によって犠牲になっている吸血鬼を救う為に魔教団に潜入した、違いますか?」


「ええ、その通りです」


「そこで、実験体として囚われているかつての主であるジルに出会った。

 当然、貴女は彼女を助けようとしたでしょう。

 しかし……彼女は断った」


 断った、と言うよりは断らざる得なかった。


「同じく実験体として、人質として取られている娘達。

 リーナとミーナを守る為、彼女は逃げる訳には行かなかった」


 当然、その事はリーナとミーナも悟っているでしょう。

 幼く、未熟な自分達とは違い、母であるジルは原種吸血鬼だったのだから。


「そこでリリアーナさんは彼女から頼まれたのでしょう?

 人質として、同じく実験体として捕まっている幼い愛娘達を自分の代わりに助けて欲しいと」


涙を流しながら頷くリリアーナさんを、リーナとミーナ、そしてハールトさんが目を見開いて見つめました。

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