第99話 旅行第2弾ですね!
「それで、どうでしたか?」
ナイトメア本部にある特別会議室。
その楕円形の円卓の最奥にある席に座った僕は開口一番そう聞きました。
毎回の事ですが、やっぱり僕がこの部屋に来たときには既にみんな席についていましたからね……これじゃあ僕が遅刻したみたいじゃ無いですか。
ちょっとでも威厳を出すために、机に肘を着き、左右の指を顔の前で組んで、シリアスな雰囲気を醸そうとしていますが。
机の下では、足がぷらーんってなってますから、威厳もクソも無いですね……
「はい、諸国連合の国々を合わせて12か国ほど」
「かなり多いですね〜」
コレールが言っているのは、この一ヶ月で僕たちナイトメアの一部署であるリーヴ商会に接触を行なって来た国の数です。
まぁ、銀行という画期的な制度をフェーニル国内で一任され。
短期間でネルウァクス帝国のシェアの8割以上を抑えた商会、それだけでも接触する理由は十分でしょう。
しかも、今回はそれに加えて軽く転移魔法の事などの噂を流しておきましたので、各国のこの食いつきも当然と言えます。
「各国の貴族、商人を合わせればこの比ではありません。
軽く数百にも及びます」
そ、そう言われるとコレールには頭が上がりません。
多分、と言うか絶対にコレール無しではナイトメアはまわりませんね。
「やっぱり、僕もちょっとは手伝った方が……」
「いえ、お嬢様のお手を煩わせる訳にはいきません。
それに、お嬢様から仰せつかった仕事をこなす事は我ら眷属の誇りですので」
うぅ、そうなんですよ。
以前もあまりのコレールの仕事量に、手伝う事を申し出なのですが。
頑なに僕に仕事を譲ってくれないんですよね。
ナイトメアは決してブラックな組織では無いので、ナイトメアの構成員には全員に週休二日取る事を厳守させています。
ナイトメアの皆んなは、休みを使ってフェーニルや帝都に遊びに行ったり、しっかりとリフレッシュしてくれているのですが……
コレールだけはいつも仕事をしているんですよね。
休みの2日以外は本当に不眠不休なんじゃ無いかと思うほどですし、その休みも常に僕の側にいますからね……悩ましい問題です。
しかし! 僕には奥の手があるのです!!
「ま、まぁ意外と多くの国が接触を図ってきた様ですが。
あの国が接触してきたのですよね?」
僕の言葉を受けて、待ってましたとばかりにニヤリと笑みを浮かべる一同。
「ならばやる事は1つです。
接触してきた他の国も無視はできませんが……取り敢えず旅行第2弾ですね!
行き先は勿論、温泉の国・アルテット公国です!!」
足が全くついていない豪奢な椅子に踏ん反り返って僕は宣言しました。
ふっふっふ! コレールが休んでくれないのであれば、無理やり理由をつけて休ませればいいのですよ!!
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