第70話 水の楽園です
海底に現れた宮殿。
空気の層で囲まれていて、僕達でも問題なく活動する事が出来そうです。
尤も、例え空気が無くとも、大した障害にはなり得ないですけど。
「お待ちしておりました、お嬢様」
海中宮殿に上陸した僕達を、コレールが綺麗な一礼と共に出迎える。
コレールの後ろではノアとシアが同じように頭を下げて一礼しまいます。
「コレールにノアとシアもご苦労様でした。
おかげで、上手くあの場を離れる事が出来ました」
「身に余るお言葉です。
……しかしお嬢様、なぜアヴァリスに?」
アヴァリスに抱っこされている僕に対する核心をつくコレールの疑問。
それを説明する事になってしまいしまた。
でも、コレールの気持ちもわかります。
だって僕も何故アヴァリスにずっと抱っこされているのか分かりませんからね。
理由としては歩けなくなったから、と言う事ですけど。
その問題は翼を出したり、魔法を使ったりして飛べば解決ですからね……
尤も、僕としても抱っこされるのは楽ですし。
悪い気はしないのでらアヴァリス達がコレで良いのであれば別に構いません。
「なるほど……そういう訳でしたか」
と呆れつつも、どこか羨ましそうな部分を含んだ声でそう言ってました。
女性陣の視線が一瞬鋭くなったのを僕は見逃しませんでした!
「それで、ここはやはり?」
「はい。
この場所が八大迷宮の一角、氷結の試練です」
確信を持ってコレールに確認を取ると、肯定が帰ってきました。
まぁこの場所から漏れ出す神聖な気配はこの国に入った時から感じていましたけど……
『驚きました……先にご案内した黒龍様は分かりますが。
何故貴女様がこの場所の事を?』
「ん? コレ程、神の気配が溢れ出していれば誰でも気づくと思いますけど?」
海竜さんに軽く首を傾げながらそう返すと、何故か心底驚いた様子で目を見開いて固まってしまいました。
「海竜さんは一体どうしてしまったのでしょう?」
「ふふふ、ルーミエルお嬢様。
普通の人は神の気配なんて感じ取れないのです。
だからルーミエルお嬢様が神の気配を感じたと聞いて驚いているのです」
「そうだぜ、お嬢。
現世にいるならまだしも、休眠状態にある神の気配なんて、オレ達でも意識しなけりゃ早々感じ取れるもんじゃねぇからな」
「ですが、アヴァリス達もニーフィル王国に入った時、この気配に気づいていましたよね?」
「それはルーミエル様の眷属となった影響でしょう」
「ん、エルの眷属に、なって強化された」
うーん、僕の眷属となった程度でそんな事が出来るようになるのでしょうか?
しかし、皆んなが嘘を言っているとも思えませんし……
まぁ僕も皆んなを眷属とした事で、皆んなの種族を買う事が可能になりましたし。
コレール達にも影響があるのは当然ですか。
吸血鬼という種族を買った事で、オリジナルであった人間には戻る事は出来なくなってしまいましたが……
『流石は選ばれし者という事でしょうか』
すると、海竜さんがそう言いつつ、どんどんその身体を小さくしていき……
「では、コレより先に案内致します」
美しい人型の女性となって僕達に並び立つ。
青く透き通るようなロングの髪の美女。
地球にいた頃の僕なら話しかける事さえ……返事を返す事さえも出来なかっでしょう。
しかし!!
僕はこの世界に来てオルグイユにアヴァリス、リュグズールと絶世の美女に囲まれてきました!
それにフェルだった凄まじい美少女ですし、コレールだって凄い美形なのです。
僕の美女に対する耐性は完璧と言っていいでしょう!!
「わかりました。
お願いしますね、えっと……」
「これは失礼致しました。
私の名はプレシーと申します、どうかプレシーとお呼びください」
「わかりました!
ではプレシーさん、改めてお願いしますね」
どうです!
しっかりと返事をする事に成功しましたよ!!
ふっふっふ! コミュ障という名の巨大な壁を乗り越えた僕に怖いモノは何も無いっ!!
達成感に浸っている間にプレシーさんは頷き、踵を返す。
そのまま宮殿の門を潜って行き……アヴァリスの腕の中に抱っこされたまま、その門をくぐり抜けました。
「わぁー! 凄いですね!!」
門を潜ると、水で構成された巨大なドーム状の、かなりの広さの空間。
その水の中には多種多様な魚が泳ぎ。
周囲の水の影響か、薄っすらとした青い光で包まれていて凄まじく幻想的。
正に水の楽園です!
あとで僕のホームにも追加で作っておくとしましょう!!
「ようこそ。
どうやら僕のダンジョンは気に入って頂けたようだね」
密かにそんな決意をしていると、不意に前方からそんな声が響き渡る。
まぁ尤も、そこに彼がいることは分かっていましたけどね…
「初めまして、神に見初められし少女よ。
じゃあ、早速その力を示してもらおうか!」
薄っすらと水色がかった銀髪。
コレールと並ぶ程の美貌と存在感を放つ存在が僕を見てニヤリと笑みを浮かべた。
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