第3話 色々とヤバイです
本日3回目の視界が切り替わる体験をした後、目に入って来たのは一面の黒。
つまりは何も見えない暗闇の中だと言う事ですね。
あの国王の話を聞いている限り、ここはダンジョン。
それも誰もクリアした事が無いような鬼畜難易度。
そんな場所で視界が無いのは非常にマズイと言える。
このままでは、気が付いたら神様の前なんて事になりかねないのだ。
焦る気持ちを押し殺してステータスプレートを表示する。
ステータスプレートは体内に吸収されており表示すると脳内に文字の羅列が見える仕様らしい。
おかげで光があるかは関係ない。
もし、この仕様じゃ無かったら、この暗闇の中では何も見えなかったので非常に助かった。
まさに、不幸中の幸いというやつですね。
王城での説明通りにステータスオープンと念じるとステータスが映し出される。
名前:コウキ・イナミ
種族:人間
年齢:17歳
レベル:1
二つ名:無し
ステータス
生命力:38
魔力 :10,000,000
力 :52
敏捷 :47
体力 :46
スキル:無し
ユニークスキル:等価交換・世界地図・無限収納
称号:転移者
自分のステータスを見て始めに浮かんだ感想がうわぁです。
神様に魔力が多いみたいな事は言われましたが、流石に1000万はどうかと思います。
そんなに魔力があるなら他のステータスに分配してくれれば良いのに……
それにユニークスキルがあるのに普通のスキルが一つもないってどうなの?
まぁ他の人のステータスは知らないから基準がどれくらいか解らないんですけどね。
3つのユニークスキルのうち〝世界地図〟と〝無限収納〟は、神様が言っていたマップと収納でまず間違いない。
と言うことは、もう1つの〝等価交換〟が神様が授けてくれたユニークスキルって事ですね。
脳内に映し出されるステータスのうちユニークスキル等価交換に意識を集中する。
するとその権能を見る事ができた。
ユニークスキル・等価交換
:何らかの対価に応じる報酬を選択取得する事ができる。
権能の説明はこれだけ。
これだけでは何のことやら解らないだろう。
だが!! 俺にはこれだけでも十分です。
なにせ、このスキルの元になるイメージを考えたのは俺なのですから。
そしてこの〝等価交換〟の権能が俺の想像通りの力ならこの状況でもどうにかなるかもしれない。
国王にあんな啖呵を切っておいて早々に死んだんじゃ流石に格好がつかないですしね。
そしてこの状況を生き抜く為に神様からもらったユニークスキルを発動する。
どうやらこのユニークスキルの3つは自動的に常時発動しているパッシブスキルでは無く、自分で発動しなければならないアクティブスキルのようですね。
そして発動されたユニークスキル〝等価交換〟を目にして俺は笑みを深めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
視界が眩い光に飲み込まれ再び視界が開けた時、私は私の生徒を一人失った。
伊波 光輝くん。
世界有数の大事業家に生まれ、世界経済界の重鎮を親に持つ将来を約束された少年。
しかし、実際には産まれながらに先天性白皮症……つまりはアルビノであり、太陽の日に当たる事ができず。
また周囲との差異から幼い頃からイジメを受けたりと辛い経緯を持っている。
そんな少年が、せっかく来てくれた修学旅行。
でも異世界に連れてこられて、しかもアルビノと言うだけで……
この出来事が起こるまで、この世界に来てまだ1日もたっていない。
にも関わらず私は生徒を守る事ができなかった。
私たちの前にいる国王様はさっきの出来事が無かったかの様に柔らかい笑みを浮かべている。
でも国王様は自分に不利益な存在だと判断したら簡単に私たちを切り捨てると思う。
だからこそ、あの国王様が私たちを簡単に処分する事が出来ないように何か単純な力や権力を持ち私たちの立場を強くしなければならない。
こんな、よくわからない環境の中いち早くこの事に気づく事ができたのは、伊波くんの犠牲があったから。
生徒を守れなかった私は、他の生徒たちを守る為にもその事に気付かせてくれた伊波くんの為にも強くならなくてはなりません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「取り敢えずここから脱出する必要がありますね」
独り言が冴える俺の周囲には先程まではなかった光がある。
ただしその光は自然のものでは無く人口の物……魔法で作られた光。
何故魔法の光があるのか、と言う疑問にお答えしましょう!!
答えは簡単それは俺が光魔法LV1のライトを使ったからです。
第2の疑問、何故光魔法が使えるのか? にもお答えしましょう。
現在の俺のステータスがこちら。
名前:コウキ・イナミ
種族:人間
年齢:17歳
レベル:1
二つ名:無し
ステータス
生命力:38
魔力 :9,900,000
力 :52
敏捷 :47
体力 :46
スキル:「光魔法LV10」「神聖魔法LV1」
ユニークスキル:「等価交換」「世界地図」「無限収納」
称号:「転移者」
さて、もうおわかりでしょう。
魔力が減ってスキルに光魔法が入っている、つまりはそう言う事です。
俺のユニークスキル〝等価交換〟は何らかの対価に応じる報酬を選択取得する事が出来る力。
今回は魔力を対価にして光魔法を獲得したと言う訳です。
ちなみに光魔法自体を習得するに掛かった魔力量は1万。
その状態からレベルを1つ上げるのにまた1万ずつ必要でした。
とまぁそんな理由で魔力を10万使い光魔法をLV10で獲得し。
そして光魔法がLV10になった事で神聖魔法に覚醒したと言うわけです。
ちなみに直接、神聖魔法を獲得する事も可能です。
しかし上位属性である神聖魔法を直接取得する為には、一度それを目にする必要があるようで、今は取得する事ができませんでした。
この力を簡単に言い表すなら買い物です。
対価にするものは生き物以外なら何でもよく、金でも魔力でも生命力でもアイテムでもいい。
そして一度、目にしさえすれば例えユニークスキルだろうが買う事ができるのです。
俺のこの〝等価交換〟はいくつかの制限はあるものの、色々なモノを買う事ができる。
スキルにユニークスキル、ステータス、アイテムまでも買う事が可能!!
しかも魔力は自然に回復するので実質ゼロ円と言える価値でスキルやステータスなどを買う事ができるのです!
ただし、生き物の命を買う事はできません。
これは制限の1つで、奴隷を作るなら奴隷魔法を買えばいい様にやりようはあるのだが、直接他人の命を買うことは現状出来ません。
とは言え、この力は十分にチートと呼んでいい力なのではないでしょうか?
確かに金などの対価に応じてスキルを取得できる力が欲しいとは言いましたが。
まさかユニークスキルまでも買う事ができるとは思ってもいませんでした。
しかし、力が強力なのはいい事なので良しとしましょう。
もしかしたらあの神様のサービスなのかもしれませんね。
ありがとうございます神様! ちょろいなんて考えてゴメンなさい!!
とまぁそんな感じて光源を作り視界を確保する事に成功しました。
取り敢えず視界を確保し周囲に誰もいない事を確認し、安全を確保したので後の2つのユニークスキルの検証をするとしましょう。
ユニークスキル・世界地図
:世界各地の地図を見る事ができる、神の力。
ユニークスキル・無限収納
:亜空間へ無限に物を収納できる、神の力。
スキル収納、亜空庫などの昇格版
まさかの両方とも神の力でした、はい。
俺の小言に仕方なくつけてくれたこのユニークスキルですが……今にして思えばあの時、神様はどこかやけくそ気味だったような気も……しない事もない。
まぁ世界どこでも確認できるとか、無限に荷物を収納できるとか確かに神の力ですね。
そんなの出来たらずるいと思いますし。
そして、ユニークスキル世界地図のおかげでここがどこだか判明した。
予想通り、ここはダンジョン。
それも世界に8箇所ある特別なダンジョン、八大迷宮のうちの1つ、深淵の試練の裏ステージ第101階層目。
どうやらここは八大迷宮の中でも最大・最高難易度の超絶ダンジョンの様です。
そして何とこの裏ステージに入ってしまうと、攻略するまで外に出る方法はないと言う鬼畜仕様。
これって……超絶めんどくさい。
何で異世界にまで来てこんな面倒な事をしなければならないのか?
せっかく勉強をしなくてもいい世界に来たというのに。
しかし、ここを出ない事には、ゴロゴロして好きな事して過ごす日々を送る事はできないのでしょうがないですけど……
「はぁ、仕方ないか」
その時、何かがゾワっと背筋を走った。
何だこれは!?
日常生活で肌に当たる事は殆ど無いこの感覚、しかし俺はこれ正体を知っている。
これはついさっき、あの国王や兵士達から向けられたあの感じです。
その正体は殺気。
しかしこの殺気はあの時城で向けられたものとは次元が違う。
あの城での殺気を猫のそれとしたならば、これは虎やライオン、グリズリーのそれ。
どこか荒々しくそれでいて純粋で巨大な殺気。
その殺気に当てられて全身から嫌な汗が吹き出し、体が硬直する。
今俺の周囲数十メートルには何もいない。
しかし、俺はその殺気の主をユニークスキル世界地図を使って見る事ができた。
それは巨大な体躯に強靭な鱗を持ち、口と4つの足には鋼鉄をも切り裂く鋭い牙に爪。
その生物の前には例え虎やライオン、グリズリーでも子猫のように縮こまるだろう、巨大なドラゴンがそこにいた。
しかし、その殺気はどこに向けられているものでも無く、ただ周囲に撒き散らしているだけ。
その様はまるで餌でも探しているように……
そして恐らくその通りなのだろう。
あのドラゴンがこっちに気付く前に早くここを離れた方が良さそうですね。
目立つから光魔法で作っていた光を消し代わりに夜目のスキルを買う。
スキル夜目を獲得した瞬間まるで昼にでもなったかの様に視界が開けた。
ちなみにこのスキル夜目のようにレベルが存在しないスキルもあるようです。
買うのに掛かった費用は魔力5万だ。レベルが存在しないぶん多少高いようですね。
開けた視界を駆使し全速力で地面を駆ける。
今までに無いほどの速度が出てる気がしますが、きっと気のせいでは無くステータスなどの補正のおかげだと思います。
しかし、現役ヒキニートだった俺に体力がある訳もなくすぐに息が上がる。
それでも足を止めずに走り続ける。
しばらくして心臓を掴まれているような感覚が消えた。
恐らくはあのドラゴンの殺気が届く範囲を脱したのでしょう。
それにしてもこれはマズイですね。
ダンジョンと言うからには、あのドラゴン以外にも魔物が大量にいるでしょう。
流石にあのレベルの強さを誇る奴がゴロゴロいるとは考え難いですが、もしそうだったら……考えたくも無いですね。
しかし、この階層で獲物を探していたと言う事は恐らくはこの階層にいる魔物はあのドラゴンよりは弱いはず。
それでも今の俺が勝てるとは思えませんが……
この地下101階層に安息の地など無くここを出るためには、このダンジョンを攻略するしか無いのだ。
「……強くなるしか無いようですね」
覚悟を決めるために声に出す。
強くなるのだと。
黙ってあのドラゴンの餌になるのか?
嫌だ、流石にそんな死に方は嫌です。
だから強くなるしか無い。
そして怠惰な日常を勝ち取るのだと強く決意する為に。
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