肝試し

真っ暗な藪(やぶ)の道を掻き分け姿を現す

人気(ひとけ)のない不気味な廃墟


踏み荒らされた内部と

己を主張するように描かれた落書き


淀(よど)んだ空気を吸い込み荒くなる呼吸

恐怖で震え冷や汗が皮膚に伝う


しかし、友人の居る安堵(あんど)感と

恐怖を悟られたくない意地が歩みを進める


成果の無い探索に見切りをつけ

出口のドアを開ける


我先にと先行く友人が後ろを向いたまま

ふと立ち止まる


一刻も早く出たい焦りで

佇む友人に速く退けと一喝する


あぁ、、、と小さく呟き振り向く友人

僕の肌にゾワっと鳥肌が立つ


白眼が無い真っ暗な眼をした友人が

口元を吊(つ)り上げ不気味な笑顔を浮かべている


瞬間、ドアがひとりでにバタンっと閉じられる


他の出口を探るも開かずの扉ばかり

微動だにしない割れない窓ガラス


月は雲に隠され

光の届かない闇の世界に閉じ込められた












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