レベル1から始まる男の冒険譚

Leiren Storathijs

プロローグ

男の名前はアメール。とある農村で働く、何の変哲も無いごく普通の25歳だ。


アメールは特に畑や家畜も持っておらず、隣の家の村長の手伝いをしている。


「いやぁ……毎日毎日済まないなぁ……」

「良いんですよ村長。貴方がいるお陰で俺も生きて居られるんですから」


アメールは働き所を完全に村長の家に頼っており、毎日畑や家畜の世話をして、朝と夜だけ飯を作って貰い、月に500C(コルト)を貰う。国から徴収される税金は、月の給料の10分1と決まっており、それなりに生活は出来ている。


ある日、王国の税金徴収と一緒に村人全員に手紙が届いた。内容は『最近、魔物の増殖が急激に増えて来た為、政府はこれを緊急的に数を減らそうと兵を出すが、近辺の村は十分に注意せよ』との事。


「ふーん……」


アメールは手紙を読むも、興味は示さない。魔物が近く居座っているのは昔からであり、こちら側から危害を加えない限り襲ってくる事は無い。つまり心配する事では無いからだ。


しかし、そんな余裕に浸っているのも束の間だった。


翌朝、村の近くで魔物を追い払おうと戦っている兵士をアメールは寝起きの目で見つめていた。そう見つめていると、兵士1人が魔物の突進を防ぎ切れずに吹き飛ばされしまった。


そんな様子をアメールは、心の何処かで『頑張れ』と応援する。が、吹き飛ばされた兵士から突進した魔物に視線を移すと魔物はアメールの家に向かって走って来ていた。


「え? ちょ、嘘……待て待て待て待て! 来るなぁ!」

「グオオオ!」


アメールは咄嗟に横へ避けるが、魔物はアメールの家の壁をぶち抜いて、アメールの目の前を通り過ぎて過ぎて行った。


アメールは暫く壁に空いた穴と通り過ぎて行った魔物を交互に見ながら唖然とするが、直後、凄まじい兵士への怒りが込み上げる。


「そこの兵士いいいい! なんて事してくれんだあああ!!? これでも爺さんの手伝いで金もカツカツだってのに……修理費払えねぇぞ!?」

「すみません! 修理はこちらが負担しますので!!」


アメールは大きく溜息を吐く。壁に

穴を開けられた事では無く、自分の生活状況に。


「はぁ……まぁ、もっと手っ取り早く稼ぐ方法知ってるんだけどねぇ」


それは、狩人かりうどである。兵士は兵士で王国に仕える者としてそこそこ稼げるが、狩人はただ魔物を狩るだけ。魔物の体内には生命力や形成を担うコアが生成されており、それこそが魔物専用武器や金になると言う。


しかし、勿論命の危険は伴う。狩人は狩人だけあって放浪人の様な物の為、誰からも助けは来ず欲しいなら直接呼びにいくしか無い。


だがしかし、稼げるのは事実。


「行くか! どんなに危険があってもコツコツ積んで行けば大丈夫だろ!」


アメールはそんなこんなで、本当の危険も知らずに狩人になる事を決めた。

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