第108話:GW合宿二日目 (中)
彼女と合流してから既に5分以上が経っているというのにその間に交わした言葉と言えばベンチに座った直後に自分の膝の上をぽんぽんと叩きながら有無を言わさないと言わんばかりの声で発せられた
『頭』
と俺の
『はい』
だけであり、そこからはずーと真顔で下を向いている彩乃に見つめられている状態だったりする。つまり俺の彼女は今大変ご立腹ということである。
(久しぶりの合宿でテンションが上がっていたとはいえ、流石に昨日今日と彩乃のことをほったらかし過ぎたよなぁ。でもだからと言ってこのままキスとかで誤魔化すってのは絶対にしたくないし)
さてはてどうしたもんかと一人で悩んでいると相変わらず真顔状態の彩乃さんが自分の両手で俺の両頬を優しく包み込むようにしてきたかと思えば数秒程黙り込んだ後、普段とは違いどこか冷たい声で
「ひーくん、ちゃんとお風呂上りに化粧水を塗った?」
「………塗ってないです」
「理由は?」
「………昨日今日と完全に彩乃のことを忘れて男同士で馬鹿騒ぎしていたことについ先ほど気付き、焦ってL○NEしたからです」
一瞬適当に誤魔化そうかとも考えたものの本当の理由がダサい以上どう頑張ってもプラスになることはないのと、こちらの思考など全て読まれているに決まっているということで正直にそう言うと、何がお気に召したのかは謎だがどこか愛おしそうな表情を浮かべながら
「はぁ、ちょっとメガネ外すからね」
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