第101話:その頃彩乃は
自分の彼氏を他の女に褒められて嫌な気はしないどころか逆に誇らしくすらあるものの、その人が狙われているとなれば話は別ということでまだ彼女達の存在に気付いていないらしいひーくんの右腕に抱き着きながら
「なに見てるの?」
「びっくりしたー。なんだよいきなり?」
(ただ暇だったからちょっとよそ見をしてるだけかと思ったんだけど、この反応はそういうわけではなさそうだなぁ)
なんてことを考えながら最近密かにハマっている頬っぺたむにゅむにゅをしながら
「んぅ、私に何か隠し事してるでしょ?」
「ひぃてなゃい、ひぃてにゃい (してない、してない)」
(ふふ、頬を染めて恥ずかしがってるひーくんもかわいぃ~♡ もうちょっとだけ意地悪しちゃおう♪)
ということで若干だがお互いの距離を詰めてから
「正直に言わないと……明日のお弁当は白ご飯・みそ汁・皮と種だけ取ったアボカドの三つだけにしちゃうから」
「まへまへまへ、あほかとあへはあめろ! あほかとはひつほあひゃのあすくってふれるあらだいひてうれなあふべあれあいおとをいってるあおうが! (待て待て待て、アボカドだけはやめろ! アボカドはいつも彩乃が作ってくれるサラダにしてくれなきゃ食べられないことを知ってるだろうが!)」
「ひーくんが嫌いなアボカドは私が作る特製サラダじゃなきゃ食べられないんもんね~」
(って、あれ? なんで新入部員勧誘中の向井が一人でここにいるん―――)
「あとは俺が一人でやるからお前らはもう部活に行け。というかクビ」
そう呆れ気味に言われた瞬間ひーくんとイチャつくことで頭が一杯だった私は当初の目的を思い出したことにより急いで周りを見回し例の5人組がいなくなっていることを確認してから
「「(よしっ!)」」
(ん? 今ひーくんも小声で『よしっ!』って言ったような……気のせい?)
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