第98話:その頃彩乃は (上)
「………………」
「(なんか佐々木が無表情でこっちを見てるんだけど、これはなんだ? 最終警告か?)」
「(ひえぇ~、あの子とは中学からの付き合いだけどここまで怖い彩乃は初めて見たかも)」
「(まあでもここまでするくらい彩乃ちゃんはよーくんのことが大好きで、彼女にそう思わせるだけの努力を彼がし続けているってことなんですからたまにならこういうことがあってもいいんじゃないですか?)」
別にこれくらいのことなら女同士の間では日常会話レベルのものとはいえ菱沼の反応を見るに男の人達からしたらちょっと刺激が強すぎるようだったのでこの二人の声がひーくんに聞こえてしまう前に一旦止めようとした瞬間、まるで捨てられた子犬のような寂しそうな声色で
「あひゃの? (彩乃?)」
(あっ、ごめんねひーくん。すぐにそっちに戻るからあと三秒だけ待っててね)
そう心の中で言った私は彼の両耳を優しく弄りながら
「(申し訳ないんだけどすこ~しだけ静かにしてて、ね?)」
「「「(((はい)))」」」
(なんか三人の反応がちょっと怯え気味で気に食わないけどまあいいや)
ということで宣言通り三秒後にひーくんの方を向きなおした私は再び自分の手を頬っぺたへと移した。
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