第70話:まさかの防戦一方⁉ (彩乃視点)

そんな美咲からの忠告を受けどうしようか考えた結果


(元々私は好きな人のことを一杯甘やかして自分がいないと生きていけない体にしたい願望があったのだし、それならばこの路線で仕掛けていこう)


そう考えた私は一緒の家に住むようになる前からひーくんを自分色に染めていく必要があるなということで家事禁止を言い渡し、この先はまた来週かなと思っていたのだが……


お風呂からあがってくると髪の毛が濡れたままの状態でソファーに座っている彼の姿が目に入ってきたのでこれはチャンスだと思い行動に移そうとしたのもつかの間、ひーくんが何かを言いたそうな表情でこちらを見ていたので


「んっ、どうかした?」


「かあいい、です。……正直かあいすぎて寝るまでずっとくっついていたい……です」


(っ⁉ かあいいって、可愛いってことだよね? というか初めてひーくんの方からくっつきたいって言われちゃった! )


そう思ったと同時にお腹のあたりからじんわりと自分の体が温かくなっていくのを感じ、このまま彼にくっついたら更に気持ちよくなれるという謎の確信が私の思考を飲み込んでいくにつれてそれを証明するかのように今度は色んな場所がキュンキュンし始めた。


しかしそれは昨日カフェで感じたような下着がぐちょぐちょになってしまうほどのものではなく、じれったくて仕方のない……もう今すぐ自分で直接触って気持ちよくなりたい。


そう考えさせられるような弱々しい快感がゆっくり、ゆっくりと、おへそのあたりを起点に波紋のように広がり……今となっては頭の天辺から足の爪先までそれが広まりきったことによって更にじれったさが増してしまった。


(んっ、今一人で気持ちよくなっても昨日みたいな快楽を得られないことは分かってるんだけど…はぁ……切ないよぉ)


そう思った瞬間ひーくんが自分の着ているパーカーのフードを勢いよく被り下を向いてしまった。


しかしそのおかげで本来の目的を思い出すことができた私は依然キュンキュンが収まらないどころか、ここまで精いっぱい頑張ってくれたことが伝わってきたことにより更にそれが激しくなってきたのだが


(それと同時に今度は母性本能も刺激してくるとか私キラー過ぎるよ~。人間の体は一人一つしかないんだから次から次に魅力的な選択肢を増やしてこないで!)


(というか今回はまだ一方の優先度が高かったからよかったけど、もしこれが《早く学校に行かないと遅刻するorひーくんとこのままイチャイチャする》だったら彼を私色に染めるっていう本来の目的なんて完全に忘れて即後者を選んでたね)

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