第61話:その頃陽太は

「なんで最後だけ自信なさそうなのさ、も~う。ちょっとこっちにおいで」


彩乃がこんな風に俺のことを呼ぶ時は決まって頭を撫でながら褒めてくれるのだが、それは周りに人がいない時限定であってこういう場所では絶対にしてこないためいったい何をされるんだ?


とか思いながら隣に座るとそのまま人の腕に抱き着いてきて


「さっきのひーくんの考察は100点。ひーくんが選んでくれたキーケースのデザインも100点。つまり今日のひーくんを彼女視点から採点させてもらうと……はなまるです♪」


(彩乃がこうやってくっ付いてくるのは帰りの飛行機以来だけど、彩乃の体温・匂い・大きくて柔らかい胸の感触・その他諸々のお陰か凄く落ち着く……じゃなくて。実はまだプレゼントがある……というかそっちが本命みたいな感じなんだけど、どうしよう)


(別に本命の方が駄目だったとしても彩乃が俺のことを嫌いになるとかがないことは分かっているのだけど、折角喜んでくれているところにそんな賭けみたいなことをしてもし空気が壊れちゃったら―――)

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