第58話:ホワイトデーのお返し
本当は朝からずっと手を繋ぎたかったのだが中々勇気が出なかったせいでようやくそれができたというのに、早く終わってほしくないことほど時間が経つのが早く感じるもので目的地に着いたことを察した彩乃はさり気無く手を放しながら
「へー、こんなところにカフェなんてあったんだ。ちょっとターゲット層が高めお店っぽいから入りにくさはあるけど」
「確かに客の年齢層はかなり高めだけど、ここは校長の友達が趣味でやっているお店だから大丈夫大丈夫」
そう言いながら扉を開けて中に入るとその友達兼オーナーの女性が対応してくれ、そのまま周りに誰もいな一番奥の四人席へと案内された。あと去り際にどこぞの爺と似たようなウィンクもされた。
ということでこれ以上こっちの会話なり様子なりを知られて何か言われるのも面倒なので注文した飲み物が届き、お互いそれを一口二口飲んでから俺は鞄の中から小さめの紙袋を出し
「これ、ホワイトデーのお返し」
そう言いながら渡すと彩乃は柔らかい声で
「ありがとう。……ねえ、開けてみてもいい?」
「うん」
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