第31話:修学旅行1日目
うちの学校の良いところその3。校長の方針で修学旅行は行き先から宿泊場所まで全てが生徒の自由。逆に自由じゃないことといえば行きと帰りの飛行機と、一日目の夜ご飯だけは全員一緒の場所で……ぐらいである。
ということで陰キャ特有の自分から一緒に行こうと言えなかった私一之瀬陽太は、暇つぶしに清水寺を観光したのち、本日の夜ご飯を食べる場所であるお店へときていた。
もちろん誰も座っていない席を確保するために俺が一番乗りである。とか思った瞬間に二番目に到着したらしい倉科が
「あれ? よーくん一人だけ? ひっしーとかとは一緒じゃないの?」
「健太は大阪組らしいから一緒じゃない。あとは知らん」
「あとは知らんって、もしかして今日一日ずっと一人で行動してたの?」
(聞きますねえ佐々木さん。そういうの意外と嫌いじゃないよ俺)
その後、当たり前かのように二人が俺と一緒のところに座っただけでなく、出された料理が湯豆腐だったのだが豆腐以外にも色々と入っていたため菜箸も用意されていたものの、それだけはどうしても使えない俺は全てに対して穴あきお玉を使っていると
「ん? 私が一之瀬君の分も取ってあげるからお皿貸して」
(なんだその謎の優しさは。そんなに菜箸を使えないことが可哀想に見えたのか? ………まあ豆腐以外のものが取りにくかったのも事実だし、ここは大人しく)
「はい、また取る時は私に言ってね」
(なんか気付かない間に取り分けられてたんだけど。しかも綺麗だし)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます