【ビル】

きみが作るラテは

いつもビル・エヴァンスのBGMと共に


定時に訪れる僕は

厳しそうなオーナーのそばで

緊張して手を動かす君に会うことが出来る


まるで科学の実験のような

真剣なまなざしの中に

僕は映っていない


いつかその目に入り込みたい

その柔らかい頬にふれたい

少し鼻にかかる声をそばで聞きたい


ラテを受け取りながら

僕は不埒に考える


ビルだけが知っている

ビルだけが知っている


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