Candy pot

V-7

「君はホームズ」

君はホームズ。私はワトソン。


4か月前から学内で起こり始めた奇怪な事件。

被害者は揃って女生徒。皆、”なにか“を奪われている。

それは一枚の手紙。一輪の花。そんな些細なものから

膝から下の足。一揃いの眼球。今では警察も大騒ぎ。


この4か月。君と私はいい友だった。

君の言葉に耳を傾ける時間が増えた。

君が私の言葉にあっと驚く顔を見ることもできた。

私は台本を読み上げ君と非日常(探偵ごっこ)を楽しむ。


数えて7つの事件で君を名探偵に仕立てたつもりだ。

君はばらまかれた伏線(私)に気づく。


君がいつも格好つけて飲んでいた苦いコーヒーと、

私のためのジャムを沈めた甘すぎる紅茶。

その両方を用意してこの後を待とう。


よく足音の響く廊下。

重く閉じた扉。

硬い椅子に座る私。

150グラムの爆弾。


さぁ、私の紡いだこの物語に君の手で決着を――。

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