2038年の彼女−ヒロイン−にあたしはなれたのか?
天宮ユウキ
無題
2039年、3月もう大学を卒業してしまいしそうだ。就活でAIの面接官に話したのはつまらないありきたりの内容だ。在学中はバイトをしてこういう経験をしました、卒論ではこういうことを書きました、本当に中身が無いと思う。キチンとした採用条件に合わせたAIが導入されてから5年、人間のデタラメな感性の下での面接は随分と減った。まあそんなことになるのは人間の面接官も悪いが、その会社の採用システムが確立されてないというのもある。
夕陽が辺り一面を赤く照らしだす帰り。車やバイク以外の鉄の塊、即ち無人車も車道を支配している。そんな支配された世界から他人行儀な歩道で歩いていたあたしは、ふと一本の桜の木を見つけた。それを見てそういえば、学園物のアニメにもこんな近未来の世界を扱ったものがあったなと思い出す。
そのアニメは、中学を卒業すれば働くのが当たり前の世界でそれにも関わらず学校に通う女の子達を描いた話だ。今考えると働き方に関する考えた方はどちらかというと昔の方だと少し感じる。それ以上に時代と逆行、及び反抗してるような行動をするところはどこかロックだ。そんな世界に生きる主人公の女の子はただひたすら学校生活楽しさ、いや単に学校楽しいや友達と一緒に遊べて楽しいとは一線引いたものを求めてたと思う。ただ楽しいのであれば、学校全体での問題を出されたところで違和感しかない。だが女の子の生き方や姿勢は時代に対する反抗だけではなく、ある種のかっこよさが見え隠れしていた。一言で言えば、全力投球なのだ。そんな彼女はラストでは社会人を楽しむと言って今度は仕事に励んでいく。あたしはそんな彼女が頭の片隅に残るくらいには憧れを抱いている。
「この桜はあたしをどう見ているのだろう。つまんない人間なのかそれともかっこいい人間なのか」
こんな問いをしてもしょうがないのだ。桜はどんな時代だろうと相変わらず綺麗な花びらを咲かせる。時代が変わってあたしをつまらないかどうかなんて桜が、いや他人が必要以上に決めることじゃない。まず、あたしが楽しいと全力で思って行動する。ありきたりなんてその辺にでも置いてしまえばいい。これからの彼女に近づけばいいんだ。あたしは真っ暗闇になりかける道を走る。あの桜に見守られて真っ暗闇だけど期待が膨らむ道を全力で。
2038年の彼女−ヒロイン−にあたしはなれたのか? 天宮ユウキ @amamiya1yuuki
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