第2章 〜 りんご編 〜

第1話 りんご

麦畑家の事業は、3つで成り立っている。

1つ目は麦畑。

世界中に、麦畑家の独自ブランド麦が散らばり、食糧難を救ってるとか。

嘘クサイけど。

2つ目は派遣業務。

派遣会社を買収、麦畑の子会社化して世界中に人材を派遣している。麦畑当主は、麦畑の名前を売る事だけに躍起になっている。

実情はダーク過ぎて、知らないけど。

3つ目は新事業開発。

畑業だけではなく、色々な事業に飛び込んでいる。

実際は自殺行為。利益はゼロ。


その1つにメロン畑事業がある。

打倒、夕張。

圧倒、アンデス。

それがアタシの家。

雲顔くもがお りんごの家の収入源。

つまりアタシをここまで成長させたのがメロンだ。


はっきり言う。

最悪。

最低。

メロンなんて大っ嫌い。


そんな中、麦畑 瞳楽と同じ高校に入学する事になった。

最悪な事に麦畑と同い年、そして同じクラス。

アイツの所為で、アタシがメロンと呼ばれなくなった。

なんでアイツがメロンと呼ばれるんだろうか? 生業として、メロン畑をしているからアタシが完全にメロンだ。


まぁ名前はりんごですけど。


学校は本当っつまらない。

いつも麦畑とデブの豚草が大きな顔をしている。


「りんご? 大丈夫?」


中倉ちゅうくら 姫子ひめこがメロンパンを齧りながら、言う。

心配そうな顔だけ。せめて、食べるのを止めてから聞いて欲しい。

なんか友情ポイント5減少って感じ。


「平気、平気。麦畑たちがうっせぇなあ〜って思ってね」

「確かに〜騒音だよねぇ〜」


嘉数かかず 都姫ときが髪の毛をイジながら、ポ〜っていう雰囲気で言う。

キャラっぽいけど、キャラではない所が、少し嫌い。

友情ポイント10減少って感じ。


「りんごっていつもイライラしてんねぇ。えっちしてるの? 最近?」

「あ、う〜ん」


またそのネタ。

この二人はビッチだ。

かなりのビッチ。

汚物とアタシは思っている。

偏見かもしれないけど、嫌いだ。ポンポンヤリまくるこの二人の思考は、狂っている。


だけど。


アタシが、この二人くらいしか、友達が居ない。

チラリと麦畑を見る。

楽しそうに上品笑い。


なんだそれ!


なんだその余裕?


ムカつく。


続く。


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