異世界の名のもとに!! 𝓓𝓲𝓯𝓯𝓮𝓻𝓮𝓷𝓽 𝔀𝓸𝓻𝓵𝓭
𝔨𝔲𝔯𝔬𝔯𝔲
〔プロローグ〕
第1話 始まり
異世界。それはボクの唯一無二である願望。
異世界に統べる魔王が君臨する世界でただ一人。そう、ただ一人だけが立ち向かうことが出来る勇者。
魔法を使い、時代も中世ヨーロッパ風を醸し出している、そんな世界。
時には熱い闘いが繰り広げられ、時には街で噂になりそして有名になる。
と、考えたところでゲームやアニメみたいな展開はない。
どうせこの現実からは逃れられない。
現実が退屈なのか、毎日を過ごしている内にだんだん何も感じなくなっていく。
いや感じても何も思わなくなったのか。同じ日々の繰り返しで慣れてしまったんだろうか。
「あ、学校に行く時間だ…」
「行ってらっしゃい♪ お兄ちゃん」
なんだやけに嬉しそうじゃないか。いいな、お気楽人生楽しそうで何より。
とはいえ普段から妹に家事全般を任せているやつだ。頭があがらず、ダメな大人まっしぐらの人生。
何かしら役に立つような事が出来れば良いんだけど。
家にほとんど居て体力が基本的に無いに等しく、過度な事をすると目眩が起こった。
その美鈴からは無理しないでと言われて気づけばこの通り、堕落の道を進んでいた。
「行ってきまーす」
「いってらっしゃい」
靴に踵を入れて、トントンと無意識につま先でタイルを叩く。
薄い鞄を肩から腰にまわして家をあとにした。
同じ日々が今日もスタートだ。
「よう! おはよう。ここで会うなんて奇遇じゃないか」
校門付近で友人が話しかけてくる。
「あーおはよう。今日も元気だね」
「ちー君も通常運転だなー。もう少し明るくあかるく」
「へーへー」
だけど、そういっても明確に嫌いなものがある。世間だ。
いじめやら何やらと対策しているヤツ等は、上辺だけの決まった口癖を並べて金を得て。
権力を持ったヤツ等は税金を啄み自己を中心として国を、軈て世界を壊してく。
みんな、自分は関係ないって言って改善しないし。
馬鹿は増えるし、嫌気が差し自殺者も増える一方。
そんな所に居ても楽しくないに決まってる。
「おーい、どうした? ボーッとして」
「あー。いやなんでもないよ」
「そうか? あそうだ、それより昨日のテレビ見た?」
「見てないけど」
そうして時間がいつも通りに過ぎていった。
放課後は真っ直ぐ寄り道せずに家に戻るのが日課。
部活はせず、それ以外は自宅に居るのがほとんどの生活。
そんな事を考えながら近道と使っている小道を抜け大通りに出て歩幅を変えずに歩いていく。
突然、それとなく違和感を身体が訴える。
周りの様子がおかしい。
いつもより人だかりができていて、みんな不安やら心配するような表情を浮かべていた。
どうしたんだろうと思いながら角を曲がって3軒目、自分の家を視界にいれた。
「……え」
驚きを隠せず、声が出るほどの光景がそこには広がっていた。
「家が…火が…」
絞って出した声とは裏腹にサイレンのけたたましい音が横を通り過ぎる。
「…美鈴、美鈴が…!」
どっと焦りが押し寄せる。
美鈴がまだ家の中に居るんじゃないかと思うと冷や汗が止まらなくなっていく。
生きる目的、一人の生き甲斐をくれる妹。美鈴が死んでは生き甲斐を失ってしまう。
気づけばボクは大胆にもその場に走っていった。
「そこの君! 危ないから下がって!」
テープを越えようとすると近くの消防隊に止められ通れない。
「通してください、中にボクの妹が…!」
張り上げた声が周りに居た人達を自分に向かせてた。
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