第39話
「じゃあ、舞島ちゃんについて情報を整理するわね」
そんな麗佳の言葉により、後輩・舞島の対策会議が始まった。
ちなみに妹との誤解はきちんと溶けており、変な空気も残っていない。
何故なら俺の必死の状況説明により事のあらましを理解した麗佳は「勘違いしてごめんなさい」と謝ってくれた。神かな?
「とは言っても……舞島ちゃんってダンス部のエースって事以外は私、ほとんど知らないのよね」
「あんだけ噛みつかれていたのにか」
「ええ。まあ会ったら少しひと悶着あるってくらいだし、それに私が我慢していれば然程問題にもならない程度だったもの」
「成程。ちなみに信仰度(フォロワー)はどうだったんだ?」
俺はこの対策会議において一番重要な事を訪ねる。
正直に言ってしまえばその数字によっては対策会議すら必要ない。麗佳一人に任せていれば、それで終わる話だ。
しかし、こうして対策会議を開き、麗佳がそれに賛同しているという事はそう簡単な話でない事は明らかであった。
「それが、まあ、……このくらいね」
麗佳は手のひらでその数字を示す。
その数字は麗佳のフォロワー数よりも若干低いくらいで、それほど大きな差はなかった。
つまり単純な戦いではその状況次第で勝負が覆りかねないということだ。
「という事はその舞島って後輩は学園でも人気者で、かつ人間関係も良好。多くの者達から好かれている存在という事か」
単純な認知度だけでフォロワーが決まるのであれば、このバトルロイヤルのルールで麗佳に勝てる人間はまずいないだろう。
それほどまでに芸能活動で人気を博している麗佳の認知度は校内でも飛び抜けている。
しかし、麗佳の弱点は親しい友人がおらず、あくまでも「芸能人レベルの存在」という域を出ていない。
テレビに出ている芸能人よりも親しい友人や憧れの先輩、慕ってくれる後輩に好感を抱くのは当然だ。そういう『身近で親しいという好感度』が麗佳には足りていない。
それが舞島にはある。単純な知名度だけでなく、好感を強く抱かれる存在という訳である。
「うーん……、もう少し詳しい情報が欲しいな。乃雪」
「分かってるの、にぃ」
傍らに置いてあったダンボール箱がガタガタと揺れる。
ダンボール箱の中には当然乃雪が入っており、彼女も作戦会議に参加してもらっている。
ちなみに先日に比べれば乃雪の麗佳に対する対人恐怖度合も改善されているようである。さっき「お兄ちゃんを困らせるのはほどほどね? めっ」とか言われつつ、麗佳による軽い説教をダンボール越しに聞いていたのが、良かったらしい。
コツンとダンボール箱に軽く拳骨をもらった際に、あまりの感動でSNSにて麗佳詩羽公式アカウントに対してスパムレベルの糞リプ送ってたし……。なんでネットに詳しい癖にネットでしちゃいけない事を真っ先にやっちゃうのかな?
「ひとまずネットを通じて集められそうな情報を片っ端から集めてみたの」
乃雪の操作により予めリビングに置いてあったプロジェクターに情報が映った。
「にぃ。調べていて一つ驚きの情報が判明したの」
「え、なんだ、それ?」
まさか舞島の攻略に繋がる有益な情報でも見つかったのか?
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