エピローグ
「その後、お前の姿を見た少女を含めてフィル様が保護した」
ダミアは自分の人影しかない自分の部屋で、ロウルに向かってそう言った。
「そうか。それで、何で勇者一行の一員があんな所に?」
「フィル様は現在、国の中心部で働いておってな。その中で不自然な記録を入手したそうじゃ。例えば、明らかに人身売買をしている貴族から人払いをしておることとかな」
「それで真相を確かめようとした訳か」
「ロウル、お主の存在も薄々じゃが察しておるようじゃよ。いるのなら会ってみたいとも言っておったな」
「それは怖いな。いくら勇者本人でないと言えど、正面から来られたら確実に俺が死ぬ」
「その心配はなかろう。フィル様の目的は好奇心と感謝らしいからの」
「感謝?」
「儂は心当たりが無いのじゃが、一度助けられた事があるらしいのじゃよ。その礼をしたいらしい」
ロウルは少しの間考え込むと、あぁ、と小さく唸った。
「そう言えば、一度だけ助けた事があった」
「見ず知らずの人間なら兎も角、勇者一行の一員を助けたのなら覚えておるものじゃぞ、普通は」
「人を助けるのに大も小もないさ。例えそれが誰であっても」
ダミアはため息混じりに、そして笑みを浮かべながら答えた。
「相変わらずじゃな、お主は。言ってくれておれば、国から多額の金を渡せたのじゃが……」
「それは残念だ」
「思っても無い事を言うものでは無いぞ。……あぁ、忘れるところじゃった。ロウル宛にこれを預かっておってな」
そう言いながら、ダミアは白っぽい木箱を取り出した。長さ四十センチほどの直方体だ。
心当たりのないロウルは首をかしげる。
「俺宛? 一体誰から……?」
「聞いて驚け。国王からの選別じゃ」
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――――――更新予定日時――――――
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