第57話 『オークション何を出品しようか?』

ギルド長室からニクラウスギルド長に先導され再度ギルドの館内に出てくると、また冒険者達の好奇の視線が一斉に向けられてくる。

ギルド長直々に案内するなんて早々は無い事なんだろうけどな。


ギルド長が俺達の前方を俺達の盾になるように歩いていると・・

「ニクラウスまた綺麗な姉ちゃん連れてるじゃねえかよ。俺にも紹介してくれよ」

と20代半ばの貴族風の男が声を掛けてきた。

ギルド長のそんな口の利き方をする位だから、もしかして男爵家?いや侯爵家の2男か3男なのかもしれないな。


するとニクラウスギルド長は

「トレアーノ、死にたくなかったら止めておけ。後一言でも喋ってみろ!!胴体と頭が一瞬でお別れするぞ。お前も『血塗られ姫』の名前くらいは知っているだろ。今も旧サドレイン公爵家の元騎士団長レイドリックを含む旧サドレイン公爵家の残党500人の死体の検分させられた所だ。お前もその中の一体になりたいのか?」


真剣な眼差しでその男に警告。

そのニクラウスギルド長の一言でギルド本部の館内は一瞬で凍りついた。


その物音一つしなくなったギルドの館内をユリアナとユリアナに抱き抱えられた俺はニクラウスギルド長に先導されてギルド建物の外に出てきた。


その瞬間、ギルドの館内から

「死ぬのはごめんだぞ!!トレアーノ死にたいんならお前ひとりで死んでくれ。『血塗られ姫』様から呼び出しがなければ良いなトレアーノ、それにしても今度は旧サドレイン公爵家の残党500人が『血塗られ姫』一人に血祭にされるとはビックリだぜ。トレアーノお前もその中の一人になれそうで光栄な事だな」

「た・・助けてくれ~『血塗られ姫』は伝説じゃなかったのかよ?」

・・・

そんなやり取りが繰り広げられているようだ・・


『ユリアナはあんなに言われてるが、俺の前じゃめちゃめちゃ可愛いんだぞ~』

おっといけねえ~~俺はいつの間にかユリアナの思う壺に入ってしまう所だった・・

外には・・

もう其処にはストレイア公爵家の馬車が待っており、王都のストレイア公爵家の執事のネルソンが馬車の前で待っており

「お帰りなさいませユリアナ様」

と言ってギルド本部から出てきたユリアナを馬車に乗せた後、馬車を真っ暗な王都の街の中へと走らせる。


俺達が王都のストレイア公爵家の屋敷に着くと、侍女、メイド、使用人達全員が並んで待っており

「お帰りなさいませユリアナ様」

「お帰りなさいませユリアナ様」

「お帰りなさいませユリアナ様」


・・・


と全員が頭を下げて出迎える。

そして俺達はネルソンさんの案内で室内に案内され

「お食事の準備が出来ております。もう他の皆様は食事も終わりまして、お疲れみたいで全員お休みになられました。」

と言って俺とユリアナを椅子に座らせてくれる。


ユリアナはネルソンさんに

「この子の食事も普通でいいから私と同じものを持ってきて下さいね」

と言うと一瞬ビックリした表情になったが、流石執事さん

「かしこまりました奥様」

と笑顔で頭を下げて下がって行った。

暫くすると、食事が運ばれてきたので食事をしながら執事のネルソンさんは

「奥様あすのご予定はお有りでしょうか?」

と訪ねてきたのでユリアナが早速

「1日早く着いてしまったので明日オークションに出品したいと思うのですが、まだ間に合うでしょうか?」

と聞いている。


『王宮でチャーリー国王とエリザベス王妃のお子様の誕生祝いの後オークションに出品するって言ってたもんな・・一日早くついたから予定が空いたからな』


すると執事のネルソンさんが早速

「明日朝一番でオークション主催者へ何を出品するか届出をすれば大丈夫でございます。奥様はどんな物をオークションへ出品されるご予定ですか?」

と聞いてきたので

今度はユリアナがオレに向かって

「キリス~オークションに出せる商品選んで~おねが~い」

と甘えてくる。


流石に執事のネルソンさんビックリしてるよ!!

『ユリアナのこんな可愛い反応みたらそうなるよね』

あの頃のユリアナを知っている執事さんなら当然の反応だな


俺は空いたスペースに

高さ5メートル長さ10メートルのダイヤモンドドラゴン

高さ3メートル長さ5メートルのエメラルドタイガー

そして机の上に 

小さな眩しく光る『龍の涙』・・・実は40階層の壁を切り出した時に出たクズ宝石

可愛く虹色に光り輝くレインボーフラワー

長さ30センチのダイヤモンドダガー


以上5点を同時に異空間収納から一気に出すと


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~」


と一瞬大声を上げた老紳士のネルソン執事

だが転けてもタダでは起きない!!


「失礼いたしました。いやはやこの年になってこうも驚かされるとは思っても居ませんでしたな。奥様

『龍の涙』、レインボーフラワー、ダイヤモンドダガーは明日オークション主催者のほうへ私が持参いたします。しかしダイヤモンドドラゴンとエメラルドタイガーは大きさだけを主催者に説明しオークション時に直接出して頂くしかございませんがよろしゅうございましょうか?」


とユリアナに聞いてくる執事のネルソン。

流石執事さんなだけは有る。


「それでいいわ。申し訳ないのだけれど明日手配していただけるかしら」

「招致いたしました。それにしても明日のオークションは荒れますな~。もしかしたらですが『龍の涙』に関しては値段が付けれないかもしれませんぞ。それにレインボーフラワーなんと美しい宝石でありましょう。そういえば奥様のネックレスも『龍の涙』とこの宝石の花と同等の宝石が使われているようですな。奥様のそのネックレスはもう値段のつけようがございませんな。素晴らしい一品でございますな」


と執事のネルソンは感嘆の声をあげた。

『確かにあの宝石のダンジョンの30階層より深く潜らなければ取ってかえれないからな』

明日のオークションどうなるか楽しみだな。


つづく・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る