第44話 『祭りの準備はパニックパニック』

王城に入ると直ぐにアドレン宰相が俺達を見つけて


「姫様~~お帰りなさいませ~~~~お待ちしておりました~~~~」


とハンカチで汗路拭きながら駆け寄ってくる。

兵士の一人が俺達が帰ったと言いなが王城に入って行ったから、それを聞きつけて早速走ってきたのだろう。

エレノアは早速

「アドレン宰相何か問題でも発生しているのですか?」

と早速アドレン宰相に聞く。

『まあこれだけ焦って駆け寄って来るって事は何か問題が在ったって事なんだろうけど・・・』


アドレン宰相はハンカチで汗をふきふき


「実は飲み食いした金額をストレイア侯爵家で全額負担をする事でどうやってその金額を算出したら良いか解らないために悩んでいるのです」


と困り顔で話してくれる。

「それは困りましたね」

とユリアナも状況が飲み込めたみたいで・・・・

でも!!

なんでエレノア俺を見る???


「キリス何とかして~~」



と今にも泣きそうな表情のエレノア


「おい俺頼みかよ~~エレノア」

俺の言葉に・・・


『其の辺を歩いていた兵士や侍女、そしてアドレン宰相は固まった』


「あ~エレノア悪いな!!俺が喋っちまったから皆固まっちまった」

「そうね~昨日生まれたばかりの赤ちゃんが喋ったんですものね当然でしょうね」

と言った後


「はぁ~」


と深いため息をついたエレノアだったが

「皆~キリスは普通の赤ちゃんじゃないから大丈夫よ!!これからキリスが指示を出すから皆を会議室に集めなさい」

と指示!!

俺は思わずそんなエレノアに

「俺に全部振るなよな~~」

と苦情


「だって~~私じゃ何していいのか解んないんだもん~」

と今にも泣きそうな声で俺を見るエレノア

「あ~解った!!解ったから!!何とかしてやるから泣くなよエレノア」

とエレノアの頬を摩りながらエレノアの機嫌を取る。


『もうエレノアの奴俺の前では子供だな』


俺に慰められたエレノアは

「キリス~~だ~~いすき~~」

と俺を豊満な胸に一気にギュッっと抱き締める。


「おいやめろ~~く・・苦しい~~~息が出来ねえ~~」

「あらごめんなさ~~い」

と言って抱き締めた手を緩めてくれる。

「あ~死ぬかと思ったぜ。俺はまだ力が無いんだからな~少しは手加減してくれ~~」

「うふっ~その割には顔真っ赤になっちゃってるわよ~ほれほれ~~」

と真っ赤に染まった俺の頬を指でつっついてくるエレノア


俺は・・

「あのですね~それ解ってやってるでしょ?俺精神年齢はエレノアと同じなんだからな?解ってるよな?おまえ気が付いてるか?ダンジョンコアに年齢書き換えれれてるぞ?」


「え・・嘘?またまた~私を揶揄ったらダメよキリス・・・」

と言いながらも自分のステータスを見て・・


「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ~~~16さ~~~~いいいいいいいいいいいい~~~?」



と驚愕の表情で俺を見るユリアナ

「お間抜けな顔してんぞユリアナ!!」

「だ・・だって・・知ってたんなら教えてよ~今見てびっくりだよぉ~」

「やっぱり気づいてなかったのかユリアナ?」

「ステータスしか見てなかったんだもの!!でも16歳・・むふっ~ラッキー」


俺達は会議室へそんな話をしながら歩いていた訳だが・・・

皆はそんな俺達を見て


『唖然としている』


まあ~そうなるよな・・・

俺赤ちゃんだもんな~~


「ユリアナさ~皆の反応解るよな?俺どうしたら良い?昨日生まれたばかりの赤ちゃんが喋ったらおかしいよな?」

ってエレノアに聞くと

「もう今更でしょ?今から指示してもらう訳だしもうぶっちゃけそのままで良いんじゃない?」

とあっけらかんと答えてくる。

もう今更ですか~

「さいですか。じゃ~地でいかしてもらうわ」

と俺も諦めだ。


会議室のドアをエレノアが開けるとそこにはもう大勢の人々が集まっていて椅子に座って待っていた。

そして

「エレノア~どうしよぉ~あの宝箱1つじゃ祭りの為の金額が足り無さそうなんだ~」

と父親のダリウスが半泣き状態でエレノアに縋りつくように泣き言を言ってくる。


ユリアナははいはい解ってますよと言いたげに

「キリスあれを出して」

と俺に一言指示を出す。


俺は先に言われていたように金貨100万枚の入った宝箱4箱を異空間収納でテーブルの上に出す。

「こ・・・これはどうしたのだ??」

とビックリ顔のダリウス

そんなダリウスにユリアナは

「『宝石のダンジョン』を攻略したんだから宝箱が出て当然でしょ?」

と当然とばかりに言い放つ。


「あ・・キリス、ダリウスに30階層のボス部屋でドロップしたダイヤモンドランスとダイヤモンドダガーも出して」

とユリアナが俺の顔を見ながらお願いしてたのでダイヤモンドランスとダイヤモンドダガーを異空間収納から取り出してテーブルの上に置くと、ダリウスが

「こ・・・これは凄い!!こんな立派な武器は見た事も無いぞ・・ユリアナ俺が貰って良いのか?」

と恐る恐るそのダイヤモンドランスを手に取って眺め始めている。


そんなダリウスにユリアナは

「ダリウスこれ貴方にあげるわ。これだけでも金貨1億万枚くらいの価値があると思うわよ」

と驚愕の事実を突きつける。


「き・・金貨1億枚~~~~」

そう言っているダリウスの手は震えているよう・・

まああんな物この世界じゃ『宝石のダンジョン』の30階層目のボス部屋でもなければドロップ?いやあれは攻撃だな!!それも怒涛のような攻撃だった。

お陰で俺の異空間収納にはめちゃめちゃダイヤモンドランスが有るんだが・・・

そんな物全部見せたら有難みが無くなるからやめとくけど!!


ダイヤモンドランス売ったら金貨1億枚だけど、俺達にとっては30階層目のボスが攻撃してきた凶悪な武器でしかなかったからな。

今のダリウスには俺達の気持ちは解らないだろうな。


「跡は何か問題が在る?」

と端的に聞くユリアナ


その言葉を受けてアドレン宰相が

「これで資金の事は大丈夫となりましたが、飲み食いした食事代の金額をどうやって算出したら良いか私どもでは予想すらできません。どうしたら宜しいでしょうか?」

とハンカチで汗を拭きながら困り顔で助言を求めてきている?う~んもうこれは丸投げだな!!


ユリアナはワクワクした瞳で俺を見てくるんだが・・・

「ユリアナ期待するのは良いんだが・・まあ~良い何とかする」


と俺は異空間収納から以前ダルーク森林地帯で狩った白竜の人の体ほどもある魔石を取り出すと全員がビックリ無言になってしまう。

『白竜のませきだもんな・・ゲームの中で狩った奴だけど・・残っていてラッキーだぜ』



その人の体の大きさもある白竜の魔石に魔力を込めて紙状に薄く延ばしてゆきB4用紙100万枚の魔法用紙を作成


『結構考えた通りに出来るもんだな!!やっぱりお腹の中で魔力操作の訓練はむだじゃ無かったって事だな』

そう自分で納得しながら一枚魔法用紙を手に取ってから

「ユリアナ、誰かに指示してバスケットに一杯のサンドイッチを持ってこさせてくれないか?」

とお願い。

「あ~そういえば昨日から何も食べてなかったわね。今用意さすわ」

と言って侍女に指示。

侍女が暫くするとバスケット一杯のサンドイッチを抱えて戻ってきたので、ユリアナにそのバスケット一杯のサンドイッチを受け取ってもらい、白い魔法用紙に人差し指で触ってもらうと、触った場所に人差し指の指紋の跡がくっきりと浮き出る。


俺は

「誰か鑑定が出来る人間は此処に居るか?」

と聞くと

早速アドレン宰相が

「私が出来ます」

と手を挙げる。


「じゃ~この魔法用紙を鑑定してみてくれないか?」

とお願いしてアドレン宰相に魔法用紙を手渡すと、手を翳して鑑定を始める。

「銀貨1枚ですな」

と何か腑に落ちないような表情で答えてくれる。


俺は空かさず

「ユリアナが受け取ったバスケット一杯のサンドイッチの値段が銀貨1枚って事だな」

と説明するとユリアナガ

「あ~この魔法用紙って受け取った食事の代金を計算する魔道具って事なのキリス?」

と驚いたように聞いてくる。

なので

「そういう事だ。だから今日食事を提供する者達にこの魔法用紙を配って、食事を提供したらこの魔法用紙の何処かに提供した人に人差し指で確認のために触らせるように指示してくれ。この魔法用紙を明日中に王城に持ってきたら鑑定して相応の金額を払うと公示して欲しい。そしてこの魔法用紙以外での支払いはしないと付け加えてくれ。

その時、もしも不正をしたら死刑にすると断言しておいて欲しい」


エレノアは早速俺の説明を聞いて

「解ったわね!!そういう事だからお城の入り口にお触れを出すのと、商業ギルドと冒険者ギルドにも連絡、街中にこの魔法用紙を配って飲食代の支払いについて徹底させて!!それとお城の中庭を解放するから自由に使うように通達する事!!

後私とキリスでお城の中庭でS級魔獣エルドザランの肉で焼肉祭りをやるからそれも宣伝しておいて」


と一気に指示を出してアドレン宰相に細かい事は任せ魔法用紙を街中に配る手配をとってゆくユリアナ

『ユリアナって統率力あり過ぎです。それに対してダリウスって・・・はっきり言って使えない?』


ユリアナが出来る姫様って感じだから、ダリウス値立たないんだよなきっと・・

ユリアナは一通り指示が終わると椅子に座り込んで、侍女がバスケットに一杯持ってきてくれたサンドイッチを頬張り始めてる。


そんなユリアナに

「ユリアナお疲れ~良くやったぞ偉い偉い」

と頬を撫でてやる。

本当は頭を撫でてやれば良いけれど、抱っこされた赤ちゃんの俺では届かないからな。


何とか祭りの準備はこれで間に合いそうだな。



つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る