第16話薄れ
最近、狂が薄れていくのを感じた。陰毛と腋毛が生えて来た時は一日中、狂は出て来なかった。髭も薄っらと生えて来て背もまだ伸びている。その度に狂は大人になんてなるんじゃないと怒った。声変わりはもう終わっていた。成長になるに連れて高校に行くのも億劫になってズル休みをして公園で狂とボーっとしている事が多くなった。
世界が一変したとはこの事かもしれない。今まで無意識に義務教育という強制的なレールを走らされていて高校生になって脱線する事が許された。狂の場合はいつも脱線事故を起こして喜んでいる。狂が見えなくなった時の不安は子供が大人の世界に放り込まれてもみくちゃにされて生きて行くような感覚だった。狂がいなくなった日は狂を一日中探した。学校を休んで狂を探して日が暮れて大人の世界が孤独の牢獄だと知って泣いていると雫の腰の辺りを触る狂が現れた。ごめんね、何か体が小さくなってずっと隠れていたと狂は少し寂しそうに静かに言った。
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