第10話良いですよ

孤独と繰り返される毎日の混沌。みんな窒息しそうな金魚のような目をゴシゴシして生きていく。その先に何があっても何もない事を知りながら。楽しいという快楽は薬物やセックスでしか補え無いわけではない。ただ好きな人が、ただ側に居てくれれば良いと雫は願う。そして叶わなくて嘆く、そこに幸せがあるのではないかと雫は考えている。『良いですよ。』とアプリに返信メールが来たのは土曜日の昼下がりの時で狂とテレビゲームをしている時だった。狂は、少し興奮してどうするつもりだよ、おい!その女に会って僕はビール好きの十六歳高校生だって告白するのか?しないよ。ただ、雫には、その『良いですよ。』の文字がとても温かくて優しいものだと感じた。たまに来る出会い系のメールのような粗悪で俗物的とは感じなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る