花乞う鬼の角隠し

六理

花乞う鬼の角隠し

 それはそれは昔々の噺でございます。


 とある山深い渓谷にある里の、それまた奥にひとりの娘が住んでおりました。

 その娘は大層美しかったのですが、他の者と違うところがありました。


 白魚のようにしなやかな指先の爪はどこか長く、

 花のように赤く色づく口からは白い牙が、

 艶やかな黒髪を割るようにしてその額には獣のような角がふたつ生えていたのです。


 娘はその姿を恥じて、誰にも見られないようにと息を潜めて静かに暮らしていました。

 そんな日々が長らく続いた頃、どこからかひとりの若者が娘のいる山奥へと迷いこんで来たのです。

 若者の体はあちらこちらも傷だらけで、心根の優しい娘は捨て置くことができずに暗闇の中、明かりのない時間だけ介抱することにしました。

 若者はそれはそれは娘に感謝して


「あなたにいつかこの恩を返したい。どうか、どうか。その顔を見せてはくれまいか」


 と娘に頼みましたが昼間のうちにはどこかへ身を隠してしまい、その姿を見ることはかないません。

 そうこうしている間に傷は癒えて先を急いでいた若者は去り、娘はその後ろ姿を窓の隙間から見送ってまたひとりでひっそりと暮らしていました。

 しかし、久方ぶりに人と過ごしたことで娘はどこか物足りなさを感じてしまうようになりました。

 だからといって、いまさら人里に降りてもこの姿では生きてはいけません。

 無い物ねだりはするまいと思いながらも心の片隅ではまた若者と会いたいと願うようになりました。


 それから春を越え夏が過ぎ秋を跨いで冬になって、あの若者は豪奢な荷を手ずから引いて娘の元へと現れました。


「姿を見せてくれなくてもいい。どうか、どうか。このすべてを受け取ってはくれまいか」


 娘の助けた若者は、ここからとても離れている大きく裕福な領地のひとり息子でありました。

 遠くの地へと赴く道すがら、賊に襲われ死にかけたところを救ってくれた娘に恩義を感じて戻って来たのです。

 しかし人肌の恋しい娘は窓の隙間からその宝の山を目にして、どこか悲しい気分になりました。

 きっと若者はこれを娘が受け取ればもうここへ来ることはなくなるでしょう。

 それならばと、諦めの面持ちで娘は真昼の空の下ではじめて若者の前に姿を見せました。


「いいえ、いいえ。きっとわたくしの姿を見たらその気持ちも吹き飛ぶでしょう。このおそろしい姿を」


 陽の光を浴びた娘は見たこともないような異形の姿でしたが、それでもとてもとても美しく若者の目を奪いました。

 若者は娘が見かけだけでなく心根も美しいことを知っています。

 少しくらい他と変わっていようともそれは間違いがないのです。

 すっかり娘へと惚れてしまった若者は娘へと跪いてこう乞いました。


「そのような姿がおそろしいわけがない。どうか、どうか。わたしの妻になってはくれまいか」


 この姿を見て逃げるだろう、とばかり信じていた娘はそんな若者の姿に驚いてしまいました。

 だからこそ娘は格別に嬉しく思いましたが、その乞いに頷くことはできません。


「いいえ、いいえ。このように目立つ姿ではどこへも誰にも嫁げません。一緒にいたらあなたまで指をさされてしまうことでしょう」


 娘の意思はかたく、容易に折れることはありません。

 しかし若者の意思も同じく折れることはありません。

 領地へと戻らなければならない若者は、その誓いの証拠にと長かった髪を目の前で切り落とし娘へと捧げました。


 そして次に来たときにはその角を隠すほどに長く、美しい刺繍を施した布地を娘へと被せてこう告げたのです。


「あなたのためにわたし自ら誂えたものです。どうか、どうか。これをいつも身に纏っていてください。あなたはとても美しいからこそ角があるのでしょう。そうでもしなければわたしはあなたと会うこともなかったのです」


 その言葉に娘は涙しました。

 いままですべての悲しみを塗り替えるような喜びの涙です。


「いいえ、いいえ。わたしだけがもらうわけにはいきません。見栄えは悪いですがこれをもらってくださいませ」


 娘は愛しい若者を待っている間に長い爪に手間取られながらも手ずから作ったひとつの品物を渡しました。


「たとえ誰かに知られたとして、指をさされたとしてもわたしはあなたを守りましょう。だからどうか、どうか。わたしと共に生きてはくれまいか」


 娘はその乞いに、これまでのなかで一等美しい笑みを浮かべて頷きました。

 角ありの嫁をもらった領主の若者は子にも恵まれ、そのあともふたり幸せに暮らしましたとさ。


 さて、その領地ではそれからは角ありの者がたくさん生まれるようになりました。

 そのような者達を『鬼』と呼び、縁起がよいものだと大事に育てたのだそうです。



 ――とある国の伝承御伽より抜粋――


 ◇◇◇


 無駄な諍いはなにも生み出さない――


「ねぇ、心凌シンリン、そう思わないかい」


「えぇ、炎彬ヤンビン、私もそう思うわよ」


 じりじりと相手がこっちに寄ってくるので 私はそれ以上に距離をとる。

 あっちが一歩なら二歩。三歩なら六歩という具合である。これ以上間合いに入れてなるものか。

 右に来たなら左に逸れる。かと見せて右に逸れて伸ばされた手を回避する。小さな舌打ちが聞こえた。

 よそから見たらどこか優雅に踊っているように見えるかもしれない。それはそれは高速の円舞を。

 その足元はもう一般人には不可視である。もはやこれは舞踏ではなく武道の足使いだ。

 こいつはなんでも器用にこなしてしまうからいまも涼しい顔でいるが、対する私は表情を取り繕えないくらいには必死でついていっている状態である。

 これはいわゆる火事場の馬鹿力というもので、やれと言われてもできやしないものだろう。

 この光景は猫がねずみを部屋の角に追いやって遊んでいるものに似ている。きっと面白がって、体力を削らせていたぶっているのだ。

 どう考えてもこの舞踏は公平なものじゃない。私に不公平であっちに分がありすぎなのだ。

 むこうは前に進むだけだがこっちは後ろ向き。

 私の均衡感覚というものも捨てたものではないのかもしれないな、と状況を考えずに思ったりもした。


 いやもうごめんなさい。わかっているの。

 これはすでに、思考の逃避なのだと。

 誰か助けてくれ。格安でおねがいしたい。足がもう攣りそうなの。


 他人ならばとっくの昔に勝負がついていた。

 ここまで続いているのはもはや運とかではなく、互いを知りすぎているからに違いない。なんとなく先を読むことができるのだ。

 それほどまでに私たちの息は合っていた。伊達に幼馴染はしてなかったんだね、という証拠になりそうなほどに。


「ねえ、いいかげん諦めたら」


「あら、こっちの台詞だけど」


 おほほほほ。

 茶化して笑ってみせれば冷たく睨まれる。


「見せて」


「いやよ」


 むこうに引く気はないようだ。こっちが引く気がないように。

 冷や汗をかきながらどうしてこうなった、と内心大きく震えていた。


 ◇◇◇


 今日は年に一度の大祭だ。

 大抵のことは羽目を外してもそう怒られることはない。皆の心が太平になる日だ。

 その年に生まれた子の成長を祝う日であるし、その年の収穫を祝う日であるし、その年に成人になる者たちを祝う日である。

 他にもいろんなことをなにもかもいっぺんに祝おうという、大きな大きな祭だ。

 きっと昔の人は大雑把だったに違いない。一日に詰め込みすぎなのだ。

 別々にすればいいのに。みんなそう思っているだろうにそう言わない。

 しかし、今日という日を心待ちにしている者たちがいるのは間違いないからだ。

 それは祭りにならぶ出店を制覇しようと小遣いを貯めて企む子供であったり。

 遠方からこの日のために来てくれた道化たちの興行を見におもむく普段は家から出ることのない老人であったり。

 でも一番は、この日に成人する者たちだろう。


 彼らは今日から装いも新たに大人の仲間入りをするのだ。


 男ならばそれまで長く伸ばしていた髪を耳の位置よりも短く切りそろえ。

 女ならばその肌を足先まで隠れるほどまで長い衣服を着て隠してしまう。


 見かけからして、もう昨日の自分とは違うものになるのだ。

 髪を切るのも、服を用意するのも親の仕事だが、彼らはこの日までに用意しなくてはいけないものがある。

 物自体は、どこにでもあるものだ。材料だってすぐに手に入る。

 安くしようとするならどれだけだって安く済ますこともできるし、反対にどれだけでも高級品にできた。

 ただし自分で作らなければ意味がない。

 どれだけ高位の家に生まれた子でも手ずから作らなければならないのである。

 どこまでも作る者の力量が問われるところだ。あとは器用さがものを言う。

 どうにかして、彼らは手間隙をかけてこの世にただひとつのあるものを作らなければならない。


 その品物がこの大祭の目玉である求婚の儀に絶対に必要なものだからだ。

 それを大祭の日に想い相手と互いに交換することで、ようやく成人前に付き合っていた恋人たちは結婚ができる。

 付き合っていなくとも、上手く交換をすることができればその日から婚約を許される。

 逆にいえば、交換しなければいつまでも結婚も婚約もできない。


 毎年、一定の数で紛失したり用意できなかったりで破局する者がいるのである。

 それは、もはや暗黙の了解だ。誰かに奪われたり隠されたりしているのである。


 特にそのことを咎められることはない。奪われる方が悪いのである。

 男女関係なく、これはもう今後の一生をかけた戦いなのだ。遠慮などしてられない。

 ここで妥協を許せば今後の生活に大きな歪みを生むことになるだろう。

 もてることが必ずしもいいことにはならないのである。おそろしいがこれが真理だ。


 しかし、それ以前の問題というものがある。

 渡せるべき一定の水準にさえ満たないという問題が。


「これじゃ、全然駄目だ…」


 出来上がったものを見て私はため息をついた。

 窓の外はもう夜闇の黒から明けの紺へと色を変わっている。

 きっと今日は雲ひとつない、目の痛くなるような晴天になることだろう。

 憂鬱だ。気が滅入る。心が荒む。薪割りをして無心になりたい。

 祭が延期になるくらい嵐になればいいのに。


 しかし、祈ったところでなにも変わらない。

 床につっぷして恨みの怨嗟の言葉を次から次へと連ねようと、空は紺からさらに青へと変わっただけだった。

 もうそろそろ朝を告げる鳥が鳴きだすだろう。泣きたいのはこっちのほうである。

 自分の手先の不器用さは知っていたはずなのに。

 実際にやってみるまでは「なんとかなるでしょ」と思っていたのだ。逃げていたのである。

 現実は、こうだ。世界は優しくない。


「これじゃ雑巾かも怪しいぞ」


 どこからどう見ても、薄汚い布の塊だ。使えるかもわからない。

 しかしこれでもひと月、どうにかできないかと試行錯誤を繰り返したのである。

 さらにここ三日は徹夜で補修を施したが、やるごとに変になっていった。

 材料は奮発したのだが、できあがったのがこれじゃあ。元の布地のほうが綺麗って、どういうことなの。

 きっとほかの子は下手をすれば数年前から準備をしているはずだ。

 こんな間に合せのようなものにもなりそうにない代物を、あいつに渡せるわけがない。


「もてるからなあ…」


 外面がいいから。あと口も上手いからね。

 あれ、なんだかだんだん腹が立ってきた。

 母親譲りの優しそうな、甘くて繊細な顔立ち。目を引く珍しい色彩の髪と瞳。

 それでいてただの優男にはならないようにと何故か我が家の父に仕込まれた武道の使い手。

 小さい頃は私よりもそれはそれは可愛らしく、私よりも女の子らしいお隣の子が誘拐されやしないかと心配だったらしい。

 いまはその心配こそ無用になったが。

 線の細い外見になめてかかってきた人物を影で沈めているのを私は知っている。

 あの腹黒め。家の裏でするなというのに。まる見えなんだよ、私の部屋からは。

 頭もいい。それもただ読み書きが、というわけだけではなくて人を動かすのがやたら上手いのだ、昔っから。

 年齢男女関係なく、褒めて褒めて伸ばすのだ。私以外には。

 私がなにかしら失敗したら鼻で笑いやがって。

 それでいてみんなの前では「大丈夫ですか」とか白々しいんじゃ。


「あれ、なんかもっと腹立ってきた…寝てないからかな」


 ああ、甲高い鳥の声がどこからか聞こえる。みんながそろそろ起きてきてしまう。眠い。寝よう。

 あくびをしながら危ないので出していた針と糸を急いで片づける。

 一等上等の裁縫箱はあいつがどこからか仕入れてきたものだ。見本だからと無料でくれたけど。


 そうだ、あいつは商才があるのが一番の強みなんだ。

 やつが家を手伝いはじめてから確実に商いの量が増えた。

 お隣さんのうちも便乗して伸びた。これは感謝している。

 つくづく、あいつの家と同じものを扱ってなくってよかったと思った。下手したら潰れてた。

 そんな商売敵のやつに「仲良くしてもらいなさいね」とか親も生ぬるいことを言う。

 こちらも潰す勢いでいかないとやっていけないだろう。

 幼馴染だとかそんなことは言ってられない。


「…あれ。もうこれ、あいつに渡さなくてよくね?」


 そのほうが互いに傷つかなくて済むだろう。

 というか、渡せても交換できなかったら意味がないんだけど。

 なんか無意識にあいつに渡すことになってるけど、いいのか自分。


 返されると分かっていて、作るのか。


「だってあいつ以外に渡せる相手とか…うーん」


 作っていた時に考えていたのがあいつしかいなかったから。

 というか多分、あいつ以外に親しい異性というのがいないからだ。

 下手に上等な人物が身近にいるとどうしても比べてしまう。

 幼いころから慣れてしまってお眼鏡にかなわなかったのだろう。

 もしいたならあんなやつに渡そうとか思わないはずだ。たぶん、きっと。


 でも最近は特に出会いがない。

 はじめて会う人でも何故か目が合ったら逃げられるんだけど。

 これでも美容には気を使っているのに。特に痩せても太っているわけでもないし。

 おかしいな。最近は特に身奇麗にしてるんだけどな。

 弟も「ねーねがいきおくれになったらおよめにもらってあげるね」と言ってくれるし。

 そのどこか尊大な言い方も可愛いなこんちくしょー。まだ五つだからな。

 しかし、客が逃げるという不思議現象のせいでここ最近は店の裏で仕事をしている。本当に出会いがない。


 そもそも奇跡的にきちんとできたとして、本人に直に渡せるのだろうか。

 あいつを狙っている子は多い。軽く両手を超える。

 さらに成人した姐さんたちの中でもあいつの成人を待ってまだ未婚の人物がいたはずだ。

 さらにさらに未亡人も新たに参戦できるはずなのでこの倍率は跳ね上がる。


 なんかもう、駄目だ。絶望した。渡せる気がしない。


「寝よう。ちょっと寝よう」


 どうせ、今日は大祭りなのだ。誰かが起こしに来てくれるだろう。

 手に持ったこれは見られたら困る。ので、どこかに隠すかを悩んだ結果。

 枕の下に入れてその上に頭を乗っけた直後、睡魔に誘われるままに目を閉じた。


「心凌、もうお昼なんだけど」


「…なんで、あんたが、起こしにくるのよ」


 私の目に飛び込んできたのは可愛い弟でもやかましい母でも生気のない父でもなく。

 青みががった、黒というよりは紺に近い髪色にあいつだとわかって背中が見えるように寝返りをうった。

 近いんじゃ、顔が。覗き込むんじゃないよ、心臓が変な音を鳴らしたじゃないか。不整脈か。


「今日は大祭だよ。もうみんな出かけちゃったけど」


 そして出かけざまに鉢合わせたこいつに起こすように言ったと。


「なんてこったい」


 どうなってるのこの家の人たち。うら若き娘が無防備に寝ているんですよ。世間では男は狼だというではないか。

 しかし、あの家族がいまさらそんなことを気にするはずがなかった。あいたたた。

 振り返らずに壁に向かってのの字を書いている私にあいつが話しかける。


「さすがにもう起きないと儀式に間に合わないんじゃないの」


「へーへー起きますよーほうっといてよもー」


 朝早く起きて髪を切る男と違って、女は用意された服を着るだけでいいので惰眠が許される。

 二度寝は正義。夕方までに広間にいればいいのだ。


「髪――」


 一拍を置いて私はようやく起き上がった。勢いをつけて振り返る。

 そして当然のように枕元に座っているやつの胸ぐらをつかんでまじまじと下から眺めた。

 対するこいつは苦しいだろうに無表情を崩さない。その眦はむしろ冷ややかなものである。


「うわあああ! 本当になくなってる!」


「それだと禿げたみたいに聞こえるからやめてくれる」


 平坦な声。愛想も何もない。

 私相手だといつもこうである。腹が立つったら。

 そんなあいつの髪はまあ見事に短くなっている。

 普通、ここまで変わると違和感が半端ないはずなのだが持って生まれた美貌か存在感がそんなもの、とかき消していた。

 簡単に言えば、短髪でもよく似合っていた。なにこいつこわい。横に立って欲しくない。


「似合うかな」


「腹立つくらいにな!」


 髪が長かった時は長かったなりに似合ってたけど、短くなったらそれはそれでに似合う。

 女らしさが消えたというか、男っぽくなったというのはなんかおかしいが。

 でもなんかもっと変わった部分があるような。

 私は首を傾げてまじまじと憎たらしい顔を凝視する。


 あ、わかった。


 短くなってしまった前髪をかき分けて、気になったものに手を這わした。指先に固い感触。


「もしかして角、前より伸びてない…?」


 髪を切ったことによって目立つようになった額に、ふたつの桃色がかった突起が髪の色と相まってますます映えて見えた。

 私のようなどこにでもあるような薄茶の色彩では埋没してしまうだろう。


「心凌は逆に目立たなくなってきたね」


 どこか残念そうに言われたが、個人的にはあってもなくても困りはしない。意外に当たると痛いのだ、この角は。


 私たちには角がある。大きさも形も色もそれぞれだが、先祖返りのひとつだ。

 最近だとほとんどが角のない者として生まれてくる。弟もそうだった。つるつるおでこだ。

 私にも小さい、見てすぐにはわからないくらいの触ってようやくそうだとわかるほどの角がある。

 子供の頃はもっと大きかった気がするが、成長するごとに目立たなくなってきた。

 それはきっと顔が大きくなってきたからである。大人になるというのは悲しいことなのだなあ。

 ようするに目立つこいつは顔が小さいんだ。あ、腹立ってきた。


 角ありは縁起がいいって大人は言うけど、まわりに角なしが多いとやっぱりなんとなく疎外感がある。

 小さいときは特に顕著で、角のない子からは仲間外れもされたしもっと直接的ないじめもあった。

 まあ全部拳を振るったり文字通り足で蹴散らしたけど。

 昔はそんな私の後ろに隠れておどおどしているようなおとなしい子供だったのに。


 どうしてそれがこうなったんだか。


「かわいくないったら」


 ふん、と顔を背けると首が鳴った。くっ痛い。こいつのせいだ。間違いなくこいつのせいだ。


「心凌はさ。ねえ、その。準備はできたの」


「いまからするのよ」


 いいかげん着替えるから出てけ。


 片手は首に添えて、もうひとつの手でしっしっと振ると「そこじゃないけれど」と言われたが。

 いいから着替えさせろやと部屋からじゃなく家から追い出した。

 ひとり、部屋に戻りながら思い出した。


 あいつが座っていた場所に。


 本人がいた時は平気だったのにいまになって青ざめた。


「ま、ままま枕ぁ!!」


 しっかり部屋にもかんぬきをして私は枕を持ち上げた。

 あった。寝相でずれて見えようとしていたけども。脱力して寝台に寝転んだ。


「み、見られてないよね…」


 見られては、ないはずだ。

 見られたら恥ずかしさで死んでしまうかもしれない。


 ああ、もう、決めた。

 こんなものを渡せるわけがない。


 絶対に渡さない。



 足まで隠す服は長い爪を隠すため。

 頭を覆う布は大きな角を隠すため。


 いまではほとんどが意味を成さないのが成人の儀式の服装というものである。

 普段着にはけして適さない。断言しよう。適さない。

 なにしろ走りにくいったらない。ないったらない。


「まってくれよう! 受け取ってくれるだけでいいからあ!」


 追ってくる言葉といくつもの足音に私は返事もしないでただただ息をきらして走り続ける。

 足の速さとすばしっこさに関してはそこらの子供にも負けない自信があった。


「絶対に嫌! つーかあんたたち誰よー!」


 これだけいると誰が誰だかわからない。初対面かも常連客なのかもわからない。髪を切っている分、もっとわからない。

 受け取ってくれるだけって嘘だ。捕まったら強制的に私のものまで渡さなくてはいけない気配がする。

 求婚の儀式がこんなにおそろしいものだとは知らなかった。体力のない子は即座に負けるじゃないか。

 こんなところで捕まるわけにはいかない。捕まったら最後、私は生き恥を晒すことのなるのだ。

 そしてこの地区で暮らす限り、皆に一生笑われ続けるだろう。それだけは避けたかった。


「とにかく、撒いちゃえー」


 逃げる際にちらと見たあいつは私を追ってくる倍の人数に囲まれていた。もてすぎだろ。なにあれこわい。

 この国は一夫一婦制だから、今年はどれだけ女のほうが余るんだろう。罪な男だな、本当に。


 あの中から、あいつのお嫁さんが決まるのかな。


「なんか、変なの」


 そう考えたら、どこかが痒いような。手が届かない場所に置いた物を取ろうと背伸びをしている気になった。


 数年前に、その状態で見えた窓の外。

 踏み台がどこにあるのかも探すのも面倒で、窓の縁に手をかけてその上にある棚から荷物を引きずり落とそうとしていた時に見た風景。

 窓の外、家の隣。

 周囲より早くに身長が伸びはじめて、実際の年よりも上に見られていたあいつが店の前で掃き掃除をしていた。


「ヤ」


「あら炎彬。噂どおり、いい風に成長してるじゃないさ」


 声をかけてからかってやろうかと口を大きく開ける前に、違う声に先越された。

 隣の地区の、お金持ちで有名な胸とお尻が大きいおばさ――じゃなくて美人な姐さん。

 その姐さんがうしろから胸を押しつけるように抱きついた。

 客用の笑みを浮かべていたあいつの顎をつかまえて、そのまま――


 おろそかになっていた私の手が勝手に動いた。

 欲しかった荷物はちょうど真下にいて避けられずにいた私の頭へと落ちる。私は荷物共々、大きな音をたてて床に派手に倒れた。

 外へも聞こえたその音にあいつも気づいて駆け寄ってくる。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫かしら?」


 私は、顔を上げられずにいた。

 痛いには痛かったけれど別の理由でだ。

 あいつの隣にはあの化粧の濃いが妖艶な姐さんがいたから。


 まぶたをどれだけ閉じてもその直前までに見た光景がこびりついて離れなかった。


「心凌?」


 この状況で、あいつにどんな顔を向けていいか。それがわからなかった。


「あら、あなたも角ありなのね」


 結っていた髪はほつれて、目立たないようにしていた私の角に姐さんが気づいた。

 その頃はいまより少しだけ、角に対して劣等感をもっていたのでますます私は顔を上げられなくなった。

 きっとそれは、好意で言ったのだと思う。そう、思いたい。

 その言葉の裏に潜んでいた悪意に、私は気づかない振りをした。


「角ありは縁起がいいものね。なんならいい子、紹介してあげましょうか。あんたをお嫁に欲しがるひとはたくさんいるわよ。この地区には炎彬がいるんだし、なにも同士で固まらなくていいじゃない」


「………」


 唇を噛みしめすぎて、犬歯で切れたのか口の中が血の味がした。


 最近、ずっとこう。

 なんとなく。いつの間にか。

 あいつが私の背丈を追い越して、一緒に習っていた武道もついていけなくなった頃から。

 周囲の目が、色が変わっていって。

 横にいると、いわれのないことで責められた。


 角のことも執拗に言われるようになって、隠すようになった。前はお揃いだと、喜んですらいたのに。


「ねえ、炎彬。あなたはそう思わない? え、あ…ちょっ」


 窓から遠ざかる足音。なにかを叫んでいる姐さんの声。

 私は顔を伏せて、ただただ過ぎ去るのを待っていた。


 握りしめた手は他人より伸びやすい爪がめり込んで熱をはらんでは赤く色づいて。


「心凌」


 いつまで、そうしていたのだろう。


「心凌、大丈夫?」


 姐さんの声は聞こえなくなっても私の心の中は嵐が吹き荒れていた。

 なんか、悔しくて、恥ずかしくて、ただただ辛くて。


「…いで」


 こっちに、来ないで。


 汚い、汚い、汚い。


 知ってるくせに。

 知らないくせに。


 私に土足で踏み込んで来ないでよ。


「あんたといると腹が立つから、近づいてくんな!」


 私は荷物をあいつの顔に叩き込んで立ち上がってその場から逃げた。


 ああ、恥ずかしいな。

 いまならもっとちゃんと対応できただろう。

 あの姐さんには「年下好きが高じて旦那に捨てられた年増」とあの時と同じ場面を見たとしても喧嘩を売れる自信がある。


 いまさらだが、その頃の自分を思い出して胸が痛んだ。

 その頃はただただ、よくわからないままにあいつの顔が見たくなくってそれから一時は避けて避けて避け続けた。

 話しかけられても無視して窓には外からも内からも板を張りつけて見えなくした。

 私の親が菓子で釣って、あいつの親が私に頭を下げてきてようやく私はあいつとまた普通に会うようになった。

 けれど、それからは本当に一緒にいると腹が立ってしかたがなくなった。


 それってさ、きっとさ。

 本当に、いまさらだけど。

 ああ、うん。認めたくないけど。


 私はきっと、あいつが好きだったのだろう。



 昔は本当に、ただただ一緒にいた。他に側に来てくれる子なんていなかった。

 角ありというだけで変だと、こわいと言われて腹が立った。

 同じ角ありのあいつが側にいたから強がっていられたんだと、いまならわかる。

 もしひとりだったらこんな殊勝な性格にはならずに泣いて暮らしてたかもしれない。


「本当にいまさらじゃないの」


 好きだったなんて、思い出したくないんだよ。伝えないままに隠しておきたいんだ。


『ずっと一緒にいようね!』


 子供の頃の戯言だ。

 なんでいまになって思い出すんだろう。

 角と、さらに特異な色彩のせいであいつは私以上に悪目立ちしていたから私が守ってやろうと。

 でも私が守らなくともあいつは十分強くなった。いつしか立場が逆転してしまった。

 あんな約束はもういらないんだ。


 忘れて、しまえ。


 今日は髪結いのおばあちゃんに頼んで複雑に結ってある。これだけ動いているのに解けないのはありがたい。

 しかし今日のために装った成人を表す裾の長い服は摩擦によって膝上までめくりあがっていた。

 私は気づいて片手でそれを直す。ああ恥ずかしい。見えてないよね、中身。


「撒けたみたいね…」


 肩で息をしながら勝利を噛み締める。

 高台まで全力で迂回しながら駆けてきた。

 振り返っても、追ってくる影はない。

 なんだったんだ、結局。角ありだからか。なんかそれもそれで腹が立つ。


「外見で判断しすぎなのよね、どいつもこいつも」


 祭の広場の大きな篝火から遠く離れたここはさすがに人気はないようだ。

 きょろきょろとあたりを見渡しながら近くの木へと近寄った。このまま登って高見の見物でもしてやろう。

 見たか、この健脚。かなうものなどそうそういないぞ。

 すこしいい気分になって高らかに笑った。


「ふはははは、ここならば見つかるまいて!」


「見つけた」


 固まった。まるで猫のように固まった。


 まさかの頭上からより聞こえたからである。

 思わず奇声を上げながらそこから飛び退いた。


「ちょ、ななななんてところにいるのよ!」


「屋根に登ってたら、心凌が見えたから。ここにくるだろうなと先回りして観察してた」


「はああああ?」


 答えになってないし。なんで木に登って待ち伏せみたいなことしてんのよ。

 しかも先回りときた。腹が立つ。本当に腹が立つ。

 ムカムカしながら見ていれば、あいつはするすると器用に木を降りてきた。

 その服装にこれといった乱れはない。ああ本当に腹が立ってきた。

 私はこんなに疲れているのに。なんでこいつは涼しい顔をしてるんだろう。


「ねえ、心凌。どうかここで聞いてくれないか」


 きっと私がこんな思いをしているなんてこいつは知らないだろう。

 なんかもう悔しい。絶対に伝えてやるもんか。


「話をし」


「やなこった!」


 こんなところであんたとふたりでいるよりは、街中でほかのやつと追いかけっこしてやるわと捨て台詞を吐いて何かを言いかけていたあいつを置いて走り出した。


 ◇◇◇


 冒頭にもどる、と。


 頭を整理するために思い返してみたけど、どこまでもこいつに腹が立ったということしかわからなかった。

 どうしてここで、外灯に照らされながら死闘に似たなにかを繰り広げなくてはならないのか。


「見せるのもいやなの? 他のやつには見せたくないの?」


「見せるのがいやなの! 他のやつにも見せたくないわ!」


 逃げたつもりがいつの間にやら行き止まりに追いこまれていた。

 腹が立っているのはこちらのほうなのに、むこうもどうやら不機嫌を隠せていないようである。


「もしかしてつくらなかったの」からやつの追及がはじまり。


「作ったには作ったけど」と返してみれば。


「じゃあみせて」と来たもので。


「絶対に嫌。あんたにだけは嫌」と返してこのような自体に陥った。どこでしくじったのだろう。


 一応、あの失敗作は懐に潜ませている。

 潜ませてはいるがこのまま誰にも渡すことなく、見せることなく家に連れて帰り原材料にごめんなさいをしながら焼却処分をする所存である。

 そもそもこれは交換するためのもので、簡単に見せあいっこをするものじゃない。

 実はこれ雑巾なのよねーうふふ未使用品とは思えない粗末さでしょうと見せるならまだしも、身につけて大事にしてねと渡す代物を。


 男はまだいい。女に送る角隠しは見えるものだから下手は下手なりに堂々と渡せよう。

 女から送る品物自体がそもそも普段に「はいこれ」と白昼堂々と渡せるものではないのだ。

 たとえ私が器用で素晴らしいものを作れたとしてもこんな道中で見せつけられるものではない。

 それを見せろとは顔に似合わずにこいつは破廉恥極まりないったら。


 泣くぞこの野郎。その前に泣かすぞこの野郎。


「じゃあまだ誰にも見せてないの?」


「なんで誰かに見せた前提なのよ!」


 渡すならひとり。見せるならひとりだろうが。


 そう言うと、あいつは目を丸くした。


「断った人たちはみんな他のやつに見せてまわってたけど」


「断られたら次に行っていいのか! 恥知らずだなおい!」


 絶句した。


 いや叫んだのだけれど。心の中で絶句した。

 え、求婚の儀式ってひとりの相手にしかしちゃいけないんじゃなかったの。

 返されて断られたらその品物は処分してまた一年孤独に待つんじゃなかったの。

 私が髪結いのおばあちゃんはそう言ってたけど時代だろうか。世代だろうか。

 いいのか。いいんだ。本当にいいのか。

 そこなん十年で儀式が簡易化していたとか寝耳に水である。


「なにあんた、私がよその誰かに求婚したと思ったの?」


「見せてくれないから、もう手元にないんじゃないかと」


 勘違いされていたらしい。誤解は解けたようだが。


 しかしいまだに私たちの間にはなにか大きな溝が存在していた。


「じゃあ見せてよ」


「なんで拘るのよ」


 だから、こんなものを見せたくないと言っているのに。

 思ったより簡単に見せびらかせるとはわかったけれど、本来は神聖な儀式のはずである。

 こんな風に脅されるようにして見せるものではない。

 懐を上からおさえて睨んでいると、あいつはおもむろに背負っていた袋から質感のある黒い布地を取り出した。

 光の加減でどこか青みがかって見えるそれは、あいつの髪の色によく似ている。


「まだ誰にも見せてないから」


「そう…それさ、もしかして」


 もしかして、もしかするの。


 私は無意識にさらに後ずさる。

 固くて冷たい感触に振り返ると背後はもう壁であった。


「なに、考えてんのよ…!」


「もう、わかってるくせに」


 広げたそれは見事な刺繍が施してあった。派手ではないが、白と生地と同色の糸で描かれた模様は上品で売り物のようである。

 私が作った品物とは、雲泥の差。月とすっぽんといったらすっぽんも怒りかねない。


「こっこここっちくんな!」


 少しでもあいつとの距離を空けようと伸ばした両手はつかまれて逆に引き寄せられる。

 その腕のなかへと抱き込まれて、それならばと急所を蹴ってやろうかと激しく抵抗していたら。

 ふう、と耳に吹きかけられた息に私は全身の力が抜けてずるずるとその場に座りこんだ。


「ねえ、心凌。おとなしく聞いててね」


 この野郎、私が耳が弱いの知っててやりやがったな。

 赤くなっているだろう顔を上げて睨めば、目が合ったあいつはどこか得意げに笑っていた。


「どうか、どうか」


 それは、儀式のはじまりの言葉だ。

 かつてのお伽噺、角ありの娘に若者が向けた言葉を。


「わたしの妻になってはくれまいか」


 男のほうが跪いて、相手に乞う。

 私はそれに儀式のままに応えた。


「いいえ、いいえ。このように目立つ姿ではどこへも誰にも嫁げません」


 おざなりにも私もおぼえてはいるのである。

 ふん、と顔を背ければあいつが肩を震わせて小刻みに笑っていた。

 なによ。間違っちゃいないでしょ。劇どおりだけどなんの不満があるのよ。


 昔はさらにこのあとに男はその場で髪を切っていたそうだが、それは今朝にて済んでいる。

 顔を背けたままでいると、ふわりとした感触が頭と顔をかすめた。

 正面を向いても視界は黒で満たされて、あいつの表情を窺うことができない。


「あなたのためにわたし自ら誂えたものです。どうか、どうか。これをいつも身に纏っていてください」


 ここまでが、変わらない言葉だ。選択肢がわかれるのがここから。

 受けた女のほうはそれにどちらかの方法で返さなければならない。


 ひとつはその角隠しを自ら取って「わたくしには返せるものはありません」と断るもの。

 もうひとつは、伝承そのままに作っていた例の品物を相手に渡して承諾するというもの。


「………え、と」


 私の頭の中はぐるぐるといろんなことがまざってその後がでてこない。


 正直、嬉しい。嘘だったらどうしよう、からかって言ってたらどうしよう。

 それに本当に、本当にいまさらだけどあんなものを渡せるだろうか。

 かといって「わたくしに返せるものはありません」と言っては誤解を生むし。


 長らく、返事をしないでいると顔を隠していた部分だけが少しだけ引き上げられた。


 まだだ、見せられない。

 心構えができていない。


「わ」


 私、と言おうとしたその口はあいつの指でおさえられる。

 なにをするんだと目を向ければ、真剣な顔にただただ固まった。

 いつもの無表情とは違う、薄朱の瞳の奥に燃えるような炎がちらりと見えた気がした。


「あなたはとても美しいからこそ角があるのでしょう。そうでもしなければわたしはあなたといままで側にいることはなかったのです」


 それは。

 それは、もう儀式の言葉からは離れたもので。


「ずっと昔から好きだった。心凌だけが好きなんだ。この気持ちはいまでも変わらないし変えようとも思わない。だから、どうか、どうか」


 どうか、どうか。


 私は、その言葉に。

 笑いながら、泣きながら応えた。儀式のままに。


 想いのままに。


「いいえ、いいえ。わたしだけがもらうわけにはいきません。見栄えは悪いですがこれをもらってくださいませ」


 懐から、おそるおそる取り出したのはお世辞にも綺麗とはいえない代物だ。


「…見せたく、なかったんだけど」


「不器用なのは知ってるから平気」


 慰めではなく想像通りだったとの感想を述べたあいつに。

 私はやっぱり腹が立っていまのもてるだけのだけの気を振り絞って睨みつけた。


 対するあいつは、珍しく私に笑って応える。


「伝承どおりでちょうどいい」


 人に見せるものではないのだから。

 そりゃそうだ。これは――下穿きだもの。


 お伽噺の角ありの娘は何故にそんなものを選んだのか。

 私のように不器用だったから、見えないものをと考えたのかもしれない。


「誰かに知られたら恥ずかしいわ」


 私はあいつからは見えないように手で隠しながら、大きなその手に捩じ込んで。

 それを、大事そうにあいつは懐になおした。


「たとえ誰かに知られたとして、指をさされたとしてもわたしはあなたを守りましょう」


「知られないでよ」


「努力はするけど」


 洗濯する時にはどうしよう。室内干しくらいしか道はない。

 あれこれと考えこもうとしたところで、あいつの手が私の頬を挟み込んだ。

 顔が近いわ。もういいけどね。


「だからどうか、どうか。わたしと共に生きてはくれまいか」


 私はその乞いに、これまでのなかで一等美しいだろう笑みを浮かべて。

 返事のかわりにその腹立たしい顔に口づけた。


 ◇◇◇


 角ありの嫁をもらった角ありの若者は子にも恵まれ、そのあともふたり幸せに暮らしましたとさ。

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花乞う鬼の角隠し 六理 @mutushiki_rio

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