ラブコメの神に感謝を

十日 十月

第1話

 ある夏の日、日差しが痛い7月のある日…

 俺の名前は、錦隼人にしきはやと鳥城とりしろ高校という高校に通ってる。陰キャ、童貞、オタクの三拍子揃った非リアだ。そして、今日から2年で青春はこれからだ、という時予想もしてなかった事件が起きた。

 ガチャッ

 「行ってきまーす」

 玄関抜け走り抜けようとしたその時、空からスマホのライトを目の前で当てたかのような眩しい光が目に入った。

 その中にくらい人影らしきものが映りそれを待つかのように自然と腕を広げた。

 持ってみるとまるで大きなスポンジを持ったかのように軽かった。

 光の影響で何を持ってるのかは、見えかったが、熱があり、柔らかい感触があった。普段から感じてるこの感触は、人だと思った。

 目が慣れてきて徐々に見えるようになってきて、その人がとても可愛い、女の子だと分かった。

 顔立ちはよく、黒い宝石のようにキラキラした髪が肩ぐらいまである。

 空から美少女が落ちてくるなんてラブコメは、2次元だけだと思っていた。もちろん、美少女を抱けて幸せなはずなのだが…

 「なんで全裸なんだよ!」

 このまま誰かに見られでもしたら、社会的に死んでしまう。流石に、オタクでも、美少女を抱けて、このまま死ぬのはいいが社会的に殺されるのはいやだ。

 考えろ。

 考えるんだ。

 選択肢

 1、置いて無視

 2、学校に一緒に行く

 3、母親のいる家に連れ込む

 よし、3番だな。親はリビングでテレビを観てたはずだからさっさと階段を上がって、ベッドで寝かして置いて学校に行こう。流石に学校を休むと怪しまれる。だから忘れ物取ることにして家に侵入する。

 「ただいまー、ちょっと忘れ物した」

 大きな声で言って入ってきたことを伝え、怪しまれないようにする。我ながらこんなことにに頭使うなんて、無駄だと思うぜ。

 とりあえずベッドに寝かせて、書き置きしておこう。

 「とりあえず、家に俺が帰ってくるまで部屋にいてくれ。あと、服はタンスに入ってるから適当に着てくれ。」

 こんな感じでどうだ。

 時間やばい。学校行かないと。

 ガチャッ

 「行ってきます」

 返事はない。けど大丈夫なのだろうか。書き置きって手しか無かったけど、文字読めるのかな。トイレとか大丈夫なのか。心配してはいたが、見つからったらその時はその時だ。

 俺は、なんでも軽く考えがちだって言われるが、初めて実感した。

 学校の校門には生徒指導の先生が立っていた。遅刻ギリギリだからだろう。

 とりあえず挨拶しておく。

 「おはようございます。」

 「はい、おはよう」

 厳つい声でそう返された。

 教室に入り、いつもどうり友達のところに行く。

 「よっ」

 「おう」

 そう返したのは、坂本秀さかもとひで。俺の親友だ。メガネを付けてるなんか頭良さそうな奴だ。実際あまりよくない。

 「なぁ、お前さ、もし、空から美少女が降ってきたらどうする?」

 「もちろん、受け止める。そして、一つ屋根の下で暮らすようになりあんなことやこんなことを…」

 「キモい。」

 「うわ、辛辣すぎんだろ」

 「じゃあ、その美少女が全裸だったら?」

 「逃げるな、多分」

 「クズじゃん」

 「俺たち友達だよな?」

 「そうだな」

 キーンコーンカーンコーン

 鐘と共にガラガラガラと教室の扉が開く音が教室に響いた。

 「はい、みんな席についてね」

 教室の扉が開かれ高い声で入ってきたのは、小学生と間違えてしまうほどロリ体型の小鳥鳴ことりめい先生だ。

 「今日も可愛いな」

 「でも、もう三十路過ぎてるけどな」

 「可愛いければ年齢なんて関係ないさ」

 「キモいな」

 「だから俺たち親友だよね」

 くだらない会話をしている間に一日が終わった。

 「あと一週間で夏休みか」 

 ポツリとそう呟いた。何か忘れてる気もするがまぁ、いっか。

 「ただいまー」

 あと一週間で夏休みという事でテンションが高くなり、ただいまも元気よく言った。

 もちろん返事はない。

 リビングからなんか楽しそうな話し声が聞こえてきたので、開きドアを開けると、記憶が蘇った。

 朝、そういえば女の子が空から降ってきて部屋に入れて学校に来たんだった。

 なんで、こんな大切なこと忘れてんの俺。

 アホなのか?

 アホさにも限度があるだろ。こんな非日常が起こって忘れるなんて。しかもなんで、その女の子が俺のワイシャツ一枚着て母親に一方的に話しれている。何故バレたのかはさておき、どうにか打開策を考えねばな。

 考える必要は無いか。もう、俺の人生終わった。

 とりあえず、母親にこれまでのお礼と自首する準備と部屋にあるお宝を処分せねば。

 額を床につけ土下座の体制をとり

 「お母様これまでこの僕を育てていただきありがとう。これから牢屋で一生暮らしていきます」

 「アハハハハハハハ」

 何故か母親は爆笑した。

 いつも通りなのだが、これから牢屋に行く息子を笑うとかなんって親だ!

 「なんで笑うんだよ!」

 少しキレてしまった。

 「いや、通報もしてないし、警察に自分の息子を差し出す気もないよ」

 「だって、息子の部屋に知らない女が、全裸でいるんだよ!なんで通報しないの」

 「この子が、助けてくれたって言ったから信じただけだよ」

 そう真剣な表情で母親は言った。

 「まぁ、経緯までは聞いてないし、後でたっぷり聞かせてもらうからね」

 「はい」



 朝あったことを話したんだけど、なかなか信じてもらえなかったが、なんとか信じてもらった。

 「ふーん、そんなことがね」

 「そんなことがあったんですか」

 話に入ってきた、さっきから全く表情を変えないこの子一体誰なんだ?

 「そういえば君名前は?」

 「名前?」

 「分からないのか?」

 そう尋ねると首を縦に振った。

 「うーん困った」

 「ならとりあえず梨ちゃんでいいんじゃない。名前が梨なんて」

 「ふざけて名前つけないでよ」

 しかし、梨ちゃんはまんざらでも無さそう。なんか普通に呼んでるな。

 名前の話を後に、話の話題を変えた。

 「しかし、これからどうする。空から降ってきたので探して下さいって警察に届ける?」

 「嫌だ」

 梨がそう言った。あまり喋らないかと思ったが意思表示はするようだ。しかし、ずいぶんと無表情な奴だ。

 「うちで、居候させてもいいけど、部屋がな、俺の部屋以外無いからな」

 「私は反対よ。だって、この子色々できるもの。私の立場がなくなるわ」

 「自分の意地で、女の子を外に出す気かよ。と言うか、俺の学校行ってる間に何させてんだ」

 「掃除、洗濯、料理と家事全般やってもらっちゃった」

 てへぺろみたいな表情をしている三十路過ぎた母の図は誰も見たく無いだろう。俺も見たくない。

 「もういいわ。寝る部屋は、隼人の部屋ね」

 「なんで俺の部屋なんだよ。リビングに布団ひいて母さんと寝ればいいだろ!」

 「言い出しだのは隼人でしょ。言い出したなら責任持ちなさい」

 「俺、思春期だよ。何するか分からないよ?それでもいいの」

 脅し文句を言ってみたが

 「何かしたら、私が責任持ってあなたに制裁を下すわ」

 「怖っ」

 「分かったら返事は?」

 そう笑顔で返事を求めてきた。

 「はい、母上。責任持って家での面倒は僕が見させていただきます」

 それから、部屋に美少女がいるという誰もが羨ましがりそうな生活が始まろうとしていた。始まって欲しくはないけど

 

 

 




 

 

 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラブコメの神に感謝を 十日 十月 @jack201969

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る